ゴールドのかかとを持った考える靴「アディダス・ワン」(4/4 ページ)
アディダス・ワンはアスリートのために「走る」という行為を科学的に分析し、「自らが感じ、考え、判断し、最適化を目指して動作する」という画期的なハイテクノロジー・インテリジェント・シューズだ。テクノロジーとスポーツの架け橋として登場した、改革と未来を感じる「考える靴」が登場した。
計算された対応策を受けて同じく土踏まず部分に内蔵されている超小型モータが、かかと内部を縦断するように収納されている「金属ワイヤー」を操作して、かかとのクッション性能をコントロールする。この金属ワイヤーがかかとの内部に「筋肉」の様に収められている「衝撃吸収ユニット」を側面から引っ張ったり緩めたりすることで、クッション性を制御するのだ。
走行中、アディダス・ワンが常にリアルタイムでこのプロセスを繰り返すことで、アスリートは、競技のルールや自分の意志にのみ従い、ただひたすら走ることだけを考えていれば良いことになる。アディダス・ワンは常に変化する周囲のあらゆる事象を検知、解析し、最適の環境をリアルタイムで構築してランナーの走行をサポートする。
アスリートにとって最適の「シューズ・エンバイロメント」をオートマチックに実現するのがアディダス・ワンの目的だが、必要とあらば、電源投入後にマニュアルで、ヒールのセッティングを固め、あるいは柔らかめにという設定を行うこともできる。設定状況はLEDの点灯で表示される。アディダス・ワンとの付き合いが長くなれば、マニュアルの操作の意義も見えてくるかも知れないが、今回の短いお付き合いではその必要性は余り感じなかったのが実際だ。
ジェット機の離着陸時のエンジン出力やフラップの自動制御システムにも似た、「アディダス・ワン」。将来は、レーシングカー「童夢」に搭載されている走行状況監視モニタリング、そしてロギングシステムのような、走行記録や事後の記録DBシステム化などにも発展するかもしれない。
気合いと根性だけで走る筆者の中学校時代のマラソン哲学を、最新のテクノロジーの採用と、そのスマートなソリューションで、改革と未来を感じるにはまたとない「考える靴」の登場だ。アスリート以外のビジネスシューズの登場も待ち遠しい。
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