デジタルチューナー内蔵DVDレコーダーの基本の基本:バイヤーズガイド(3/3 ページ)
昨年から徐々に増え始めたデジタルチューナー内蔵のDVDレコーダー。先鞭をつけたのは日立製作所やシャープだが、今年に入ってから東芝、ソニー、松下が相次いで製品を投入し、大きなトレンドになりつつある。
既にD-VHSを持っている人は、日立、シャープ、東芝のように、i.Link経由でD-VHSにムーブできるTS出力対応の製品が魅力的に見えるしれない。とくにシャープの3製品はi.LinkによるTS入力もサポートしており、D-VHSからHDDに取り込んで編集作業などが行える。ただシャープの場合、コピーワンス番組は対象外のため、これからデジタル放送録画を始めるという人にはあまり意味がない。あくまでも、過去のD-VHS資産を多く持っている人向けだ。
一方、ソニーや松下の製品ではi.Link(TS)が省かれている。テープからディスクへの移行が時代の流れとはいえ、デジタルハイビジョン放送を画質劣化なく保存しておけるメディアがD-VHSとBlu-rayしかない現状を考えると少し疑問も残る。
もっとも、両社が狙っているのが地上デジタル放送によって拡大した一般ユーザー層であることを考えると、i.Link(TS)がコスト削減の対象になるのは無理のない部分かもしれない。そのかわり、松下はユニバーサルデザインや「デジ・アナどっちも録り」を訴求し、ソニーは「XMB」(クロスメディアバー)の搭載や「おまかせ・まる録」といった特色を持たせた。デジタル放送が一部AVファンのものだった時代から、広く一般ユーザーが利用するものに変化してきた証拠といえるのかもしれない。
一方、i.Link TS出力とは対照的に、2005年になってから急に増えてきたのがHDMI端子だ。HDMI端子は、DVIをベースにHDCP暗号化など著作権保護技術を盛り込んだデジタルインタフェース。デジタル放送のクオリティを落とすことなく伝送できるうえ、1本のケーブルで音声信号も伝達できるシンプルさも魅力だ。また、最近ではソニーや松下のようにアップスケーラ回路を搭載している機種が登場し、HDMI接続ならDVDビデオもD3(1125i)に変換して出力できる。
下記に各製品のi.Link(TS)とHDMIの対応状況をまとめてみた。なお、i.Link接続はメーカーによって接続できる機器に制限があるため、既にD-VHSなどを所有している場合は事前にチェックしておくことをおすすめする。各モデルの対応状況については、下表のi.Link TS欄から情報ページにリンクした。
機種名 | i.Link TS(※2) | HDMI |
---|---|---|
DV-HRD300 | ○(入出力) | ○ |
DV-HRD30 | ○(入出力) | ○ |
DV-HRD3 | ○(入出力) | ー |
DV-DH400T | ○(出力) | ー |
DV-DH250T | ○(出力) | ー |
DV-DH161T | ー | ー |
RD-Z1 | ○(出力) | ○ |
RDZ-5 | ー | ○ |
DMR-EX300 | ー | ○ |
DMR-EX100 | ー | ○ |
いくつかのポイントに絞ってデジタルチューナー内蔵DVDレコーダーを見てきたが、インタフェースの差に見られるように、現在はまだハイビジョン録画機に求められる機能の取捨選択が行われている段階だ。アナログ放送用DVDレコーダーのように“至れり尽くせり”という状態にはなっていないため、購入時には自分のニーズに合った製品をしっかり選びたいもの。値段だけで決めるにはまだ早い製品ジャンルといえる。
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