「DIGA」初のデジタル放送対応モデル「DMR-EX300」を試す:レビュー(3/3 ページ)
松下電器産業の「DIGA」シリーズに、初のデジタルチューナー内蔵モデル「DMR-EX100/300」がくわわった。ハイエンドAV機器というより、従来のDIGAシリーズの延長線上にあるイメージが強く、より幅広いユーザー層を狙った製品として注目を集めそうだ。
デジタル放送に対応ということもあり、D端子はD4出力までサポート。さらに、いろいろな意味で話題を振りまいているHDMI出力にも対応している。SD映像の再生時に関しては結局のところはどこでアップスケールするかの違いでしかないともいえるのだが、組み合わせるテレビ次第では、D3/D4出力対応やHDMI対応の意味もそれなりにあるだろう。
背面端子群。アンテナ端子を6つも備える点を除けば、背面の入出力端子は理路整然と並び、とくに過不足ない。地上波はアナログとデジタルを個別に接続するタイプだ。ファンは2つ装備しており、深夜の静かな部屋では若干気になる時もあった
では、D4出力とHDMIの750p出力で画質の違いはあるのだろうか。試聴には1366×768ピクセルの液晶パネルを採用し、D4入力とHDMI入力に対応したビクター「LT26-LC60」を使ったが、ハイビジョン映像で比較しても、やはり“パッと見”で分かるほどの変化はない。HDMI接続のほうが、「幾分すっきりしてるかな?」という印象だ。ただし、番組表を表示して見比べると、HDMI接続のほうが文字はすっきりと表示され、実解像度も高そう。可能であればHDMI接続がベターといえる。
なお、HDMI接続を利用し、かつHDMI認証が行われている場合には、D端子からの出力は525iに制限されてしまう。現実にはそれほど問題にならないだろうが、たとえば大画面薄型テレビとHDMI接続、さらにプロジェクターとD端子接続といった場合には若干注意が必要だ。さすがにハイビジョン映像では、525iと1080i/750p出力を比較すると、525iでは目に見えて情報量の欠落がわかってしまうからだ。
クイックでシームレスな使い勝手が魅力だが、割り切りも多し
画質に関しては細かな検証は行っていないが、デジタル放送のストリーム録画に関しては(当たり前だが)オンエアと区別できなかった。アナログ放送に関しては、現行のDIGAシリーズとあまり変わらない印象で、LPモードまで720×480ピクセルで録画できる点など、魅力は多い。
またSD映像の視聴に関しては、内蔵アップスケーラがなかなか役に立ちそうだ。S出力や525P出力を利用するより、確実に1080i/750P、HDMI出力を利用した方がシャープな印象で、ノイズ感も少ない。無論、これは組み合わせるテレビにもよると思うが、悪い印象は受けなかった。
本機の魅力を挙げるなら、高速起動やデジタル放送の高速チャンネル切り換え(映像が切り替わるまで約2秒)に代表されるクイックな操作性、そして基本的に録画モードに「DRモード」(TS録画)が追加されただけと思えるシームレスな使い勝手だろうか。機能的には特筆すべき部分はなく、ソニーRDZ-D5のような「おまかせ録画機能」もない。i.Link端子も省略され、D-VHSやHDDレコーダーにデジタル放送を録画した番組をムーブすることも不可能だ。
デジタル放送対応のDVD+HDDビデオレコーダーとしては「無難にまとめてきた」というのが第一印象で、DIGAらしいといえばDIGAらしい。地上波アナログ放送向けのDIGAをそのままデジタル放送に対応させたと考えればいいので、基本的な使い勝手はこなれている。ただし、さすがにリモコンのシンプル化はやり過ぎのような気がする。購買層をどこに設定しているのか、ちょっと分かりにくい。
課題はむしろ、実売価格かもしれない。登場したばかり、ということもあるだろうが、EX300は600GバイトHDDを内蔵する東芝「RD-Z1」とあまり差のない値段だし、EX100は競合となるであろう日立やシャープ製品と比較して割高感が強い。ただ、それは今後の価格推移次第だ。アナログ放送用レコーダーと変わらない、“こなれた”使い勝手は、大きな魅力になるのではないだろうか。
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