音質を大きくリファイン――コードレスサラウンドヘッドフォン「SE-DIR2000C」:レビュー(3/3 ページ)
パイオニアから久しぶりに登場したコードレスサラウンドヘッドフォン最上位モデル「SE-DIR2000C」は、AACデコードや簡単充電機能など従来の不満点を解消しただけでなく、ヘッドフォンとして音質が明らかに向上している。
装着感は△だがトータルパフォーマンスはいい
さて最後にやや気になった点。
従来比で5グラム軽量化されたとはいえ、やはり重量はやや重く感じる。映画を1本見るだけならば問題にならないだろうが、音楽を聴きながら何か作業をするといった場合には、ちょっと気になるかも知れない。
またイヤーパッドは平面的な形状で、頭に対して均一に側圧がかからない。具体的にはパッドの後ろ頭に近い部分には多少の隙間が生まれる。また耳を包み込むカップが浅めで、耳が直接、ドライバーユニットをカバーするジャージに当たるため、長時間使っていると汗をかきやすい。オープンエア型の構造を採用しているため、基本的な装着感は良く、音も開放的で明るいのだが、贅沢を言えばもう少し装着時の爽快感が欲しかった。
とはいえ、ドルビーヘッドフォン対応で光デジタル入力×3、アナログ入力×1という贅沢な構成の製品は他にはあまりない。個人的に入手するならばシアターで利用するときは付属のコードレスヘッドフォン、音楽を聴くときには別途、HiFi系の軽いヘッドフォンを接続して利用したい。
実はドルビーヘッドフォンといっても、仮想音場の生成に関してはともかく、音質に関してはさほど期待していなかったのだが、明らかに以前のモデルよりも改善されている。これはヘッドフォンユニットだけの違いではなく、仮想音場処理を行うDSPチップの能力向上もあるのかもしれない。
前モデルではややわざとらしい音場と感じる場面もあったが、今回の製品は後ろ側はきれいに音が散り、自然な雰囲気となっている。前側の定位はさほど前面には出てこないのだが、これはすべての仮想サラウンドヘッドフォンに共通する問題点だ。額のやや前あたりに音源を感じる。
トータルでのパフォーマンスは、さすがに上位機種だけあって優れており、ヘッドフォンでのDVD視聴がメインのユーザーには、ライバル製品比でのコストパフォーマンスにも優れた仕上がりになっている。
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