ホームネットワークはどこへ行った?:小寺信良(4/4 ページ)
映像ソリューションの話題が盛んだが、昨年まで家電/PC業界で話題だった「ホームネットワーク」が鳴りをひそめている。なぜだろうか? DLNA普及のハブ的役割を担うデジオンに、ホームネットワークの現状などを聞いた。
つまりその実態は、家電メーカーやPCメーカーに向けた、ホームネットワーク製品開発支援ツールなのである。たとえばソフトの開発では、とりあえず動くハードを自力でなんとか作り上げて、などという障害もなくなるだろう。ハードの開発では、とりあえずリファレンスモデルがあることで動作検証ができるだろうし、自社開発中の製品との接続実験もできる。
もともとデジオンとしても、このレコーダーをサポートの問題を解決するものとしてリリースするわけでもないだろう。だが、どこがサポートするかという問題以前に、開発時点でしっかり検証できてトラブルが少なくなれば、結果的にサポートに対する不安を取り除くことに貢献することになる。
今後各メーカーは、ホームネットワークから撤退することはないだろう。なぜならば、そこに購買の構造改革を求めているからである。テレビを買ったら終わり、レコーダー買ったら終わり、あとはそれぞれを買い換えしていくだけ、という単体完結の購入サイクルから、複数の関連製品を同時に購入したり、同時に買い換えたりしてくれるという、芋づる式購入サイクルへの転換を果たしたいわけである。
だが消費者としては、それに見合う利便性がなければならない。それにはまず、ホームネットワークって便利ぃ、というのをユーザーがイメージできることが必要だ。例えば無線LANを使ってHDTVコンテンツを伝送することで、すべての映像機器でビデオやオーディオケーブルの配線がまったく不要、といった世界である。
しかし今の日本では、デジタル放送の厳しすぎるDRMのおかげで、消費者も、あるいは開発者ですらもそれが全然イメージできないというところが問題なのである。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。
関連記事
- デジオン、DLNA対応のHDD+DVDレコーダーを販売へ
デジオンは9月12日、ホームネットワーク対応のHDD+DVDレコーダー「DiXiM DMR-1000」を発表した。主にメーカーの開発者や製品企画担当者向けの販売を想定しているが、限定888台で一般ユーザーにも提供する予定。HDDなしのベアボーンキットスタイルのため、HDDを自由に選択できる。 - DLNAで一躍脚光を浴びる「DiXiM」とは何か
家電・PC・モバイル機器の相互接続性を実現するため、標準化活動を推し進めるDLNA。Intelや松下、ソニーなど各業界をリードする企業が参加している同団体で今、福岡のソフトベンダーが開発した「DiXiM」が注目を集めている。 - 今年の冬、“つながる家電”が市場を席巻する?
- DLNA、対応機器の本格普及は年末以降?
- CESに見る“DLNA対応”AV機器の最新事情
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.