「高音質配信」を進めるAny Music――ビクターも参入?:A&Vフェスタ2005(2/2 ページ)
サービス開始から1年半が経過したAny MusicもA&Vフェスタにブースを出展している。カラー液晶とMDデッキを搭載した新世代端末の投入が計画されているほか、CDクオリティを超える「高音質配信」を検討していることも明らかに。
こうした新製品が投入されるAny Musicだが、早くも次の「プラン」が提示されている。現在のAny Musicサービスが音楽ダウンロード購入+CDのオンライン購入+FMラジオリスニングという3つで構成されていることは既に述べたが、これだけでは既存サービスの集合にすぎないという見方もできる。
そこでAny Musicが今後大きな柱のひとつにしようとしているが、「高音質配信」だ。
その証拠にAny Musicがブースを構える新世代オーディオエリアには、日本ビクターの「net K2」やオンキヨーの「HD24/96」、ソニーの次世代ATRAC「ATRAC Advanced Lossless」(AAL)、ケンウッドの「Superme」、シャープの高速スイッチ1ビットデジタルアンプ、ヤマハの「AudioMaster」などの高音質化技術も同時に紹介されている。
net K2(関連記事)やHD24/96(関連記事)などは既に発表済み、あるいは市販品に投入されているものだが、AALは「ATRACファミリーの最新技術」(同社)という新テクノロジーだ。
AALは名前に“Lossless”の文字を含むとおり、ATRACにおける可逆圧縮の符号化方式で、ベースとなっているのはATRAC3plus。CDからの音楽情報をまったく損失することなく、30〜80%の圧縮率を実現している。
AALは基本層(ATRAC3plus/ATRAC3)に拡張層(原音とATRAC3plus/ATRAC3の差分をロスレス符号化した部分)の2層構造となっており、AAL形式のファイルからATRAC3plus(ATRAC3)の音楽データ部分だけを取り出して、対応ポータブルブレーヤーなどに転送することができる。また、AAL対応製品には高音質なAAL形式のままで転送することも可能だ。
技術としては既に完成しており、ブースではAAL形式のファイルからATRAC3plus 256kbpsのファイルを抜き出してポータブルプレーヤーへ転送するというデモも行われている。製品への応用については未定ながらも、対応ライブラリーソフトの投入やAAL形式での配信サービスなどが計画されているという。
AnyMusicではこうした各社の高音質化技術を検討しながら、家庭用AV機器向けサービスであるAnyMusicの改良に努めていく考えだ。
「現在はATRAC3形式で配信サービスを行っているが、それは提携している配信プラットフォームがMoraだからで、Any Musicの配信サービス=ATRAC3ではない。高音質化をはかっていくという方針は既に決定しているが、どの技術を用いるかなど具体的は内容は検討中だ。各社が検討・推進している高音質化技術を積極的に取り入れていきたい」(同社)
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