ビデオiPodの登場で変わる「何か」:小寺信良(4/4 ページ)
先週末のネットニュースメディアは、新しいiPodの話題一色に塗りつぶされた。この“ビデオiPod”を中心とした一連のビジネスが、今後日本においてどのような影響を及ぼすのかを考えてみよう。
次に来るもの
iPod携帯、シリコン型iPod、ビデオiPodの登場で、一通り噂になっていた製品はすべて出そろった格好になった。これでホリデーシーズンから年明けぐらいまでは、とりあえず新製品で大騒ぎすることもないだろうと思われる。
そして次にiPodでやるべきことは何だろう。まだまだ先の話だが、筆者はそのヒントが、iPodに先んじて発表された「Front Row」と、そのプレゼンテーションにあると見ている。
Front Rowは、iPod Shuffleに似た赤外線リモコンで、iMacのコンテンツを操作するためのフロントエンドだ。新しいDockにも、赤外線リモコンが付いた。赤外線によるリモコンは、今や当たり前のように使用されている手法で珍しくもない。そしてこの方式の限界は、一方通行の通信しかできないということである。
ジョブス氏のプレゼンテーションがいつもスマートなのは、手の中に持ったブルーの小箱で、プレゼンテーション画面をさりげなく次に進めているからではないかと思う。これをどこかの受光部に向けて押していたら、ショーは台無しである。おそらくこの小箱は、無線のトリガーデバイスだ。
受信部に向けて操作しなければならないというレガシーな赤外線のスタイルを、ジョブス氏は決してCoolとは思っていないだろう。そう連想していくと、iPodの向かう先は、ワイヤレスによる双方向通信ではないかと思う。
手の中のiPodが、iTunesのコントローラになるという世界をイメージしてみれば、先に発売されているAirMac Expressによる無線LAN音楽再生も、より存在価値が出てくる。
また音楽やビデオコンテンツの転送がワイヤレスになれば、わざわざ線をつないで同期させる手間もなくなる。ビデオコンテンツの再生も、パソコン画面とiPod画面の両方でシンクロして行なわれれば、手元でも3メートル先でも好きな方を見ればいい。
携帯iPodとは違って、無線iPodはiTunesをバイパスしないため、コンテンツの視聴も柔軟な運用が可能だ。実際にその通信が無線LANなのかBluetoothなのか、いろいろ想像の余地はある。
もちろんこれは筆者の夢想にしか過ぎない。しかしこんな中にも次世代デバイスやライフスタイルのヒントがあるのではと、多くの国内メーカーに向けてメッセージを送っているつもりなのだが、聞いてませんかそうですか。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。
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