「tagtype」の新たな闘い――L.E.D.展 “MOVE”:っぽいかもしれない(3/3 ページ)
「tagtype」を覚えているだろうか? 1999年、東京大学の学生が、小児まひの後遺症で親指しか動かせなくなった作家のために作ったというキーボードだ。その新しいプロトタイプ――しかも“ガレージキット”が「L.E.D.展 “MOVE”」に展示されていた。
Cyclops〜睥睨する巨人
かつて日本科学未来館の「ロボット・ミーム」展や、愛知万博で睥睨(へいげい)していたCyclopsが、この会場にもいた *3。「背骨」のまわりを人工筋肉(空気圧で動く)で支えられたこの巨人は、そのてっぺんにある「ひとつ目」で動くものをとらえ、それを目で追うのだ。
そして、今回はいままでと違う点がある。Cyclopsが2人並んでいるのだ。2人の巨人は違う方向を睨んでいるんだけど、ときどき目配せを交わす。しばらくみていると、そのうちにお互いに見つめ合ってなにか会話している雰囲気(声はしない)もある。なんか協調しているな、こいつらは。悪口言ってるのか?
おおまちがい。
それぞれのCyclopsは、それぞれ独立のプログラムで勝手に動いているだけ。目配せも会話も全部錯覚。山中さんによれば「人間というものは、こういうのが2人で動いていると、そこに文脈を読み取ろうとしちゃうんです」だそうだが、見事に引っかかった。
しかし、種明かしされても、なんだかこんどは漫才してるように見えるんだけど。
Flowting Compass - 紙のアメンボ
最後にもうひとつアーティスティックなもの。水の上に浮かぶ紙のアメンボである。胴体には磁針がついていて、北を指すようになっている。
そして展示台の下には磁石があってサーボモータで回るようになっている。アメンボはそれに伴って回るのだ。複数並んだアメンボが何となく同期しながら回り続けている。
それだけ。でも、かわいい。
*3 このほかオーストリアのアルス・エレクトロニカ・センターでも展示されたのだそうだ。
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