日本ではHDアナログ出力制限が無効に――AACSのコンテンツ運用規定が決定(2/2 ページ)
次世代DVDが採用する著作権保護の枠組み「AACS」のコンテンツ運用規定が決まった。注目の「HD映像のアナログ出力制限」は、実質的にアナログ出力制限は行われない方向に。一方、BDにおけるリージョンコードの廃止は見送られた。なお、HD DVDでのリージョンコード採用・不採用はまだ決まっていない。
BD-ROMでの日本のリージョンは北米と同じに
一方、リージョンコードの廃止には主にワーナーが積極的で、他の参加メンバーも異論を持っていなかったため、最終局面までリージョンコードは導入しない方向で進んでいた。これはHD DVD、BDとも同じである。ところが、AACSに参加していない映画スタジオの働きかけもあって、リージョンコードは残される事になった。
映画は大作の世界同時公開が多くなり、DVDビジネスも以前ほどリージョンごとに分割する意味はなくなってきた事が、リージョンコード廃止へのモチベーションになっていた。しかしハリウッドコンテンツの北米以外でのビジネスは、各国ごとにディストリビュータがおりビジネス構造は単純ではない。特に言語的な障害が少ない北米と欧州は、異なるスケジュールで販売したいという意見が多かったようだ。
ただし、言語の面で北米コンテンツが大量に日本で売れることはないとの見込みもあり、日本のリージョンは1に決定した。
リージョン1は南北アメリカ大陸および中国を除く東アジア(インド以東、日本、朝鮮半島、タイ、マレーシアなどはすべてリージョン1)、リージョン2は欧州およびアフリカ大陸、リージョン3は中国、ロシアおよびそれ以外の地域と分類される。
DVDの場合、日本は欧州と同じ地域に分類されているため、欧州で購入したDVDは(信号フォーマットが対応していれば)日本の機器でも再生できたが、AACS対応ディスクでは再生できない。その代わり、北米、南米で販売されているディスクはそのまま再生可能となる。
HD DVDについてもBDと同様に、当初はリージョンコード廃止で進んでいたが、一部映画スタジオからの要求でリージョンコードを再検討しているという。米国の映画コンテンツが、欧州での劇場公開前に流れ込む事を防ぐ目的以外に、日本の流通業者からも安価な日本語音声付きコンテンツの逆輸入や、海外コンテンツの輸入販売でビジネス上の問題が出る懸念があるとの声が上がっているという。
ただしHD DVD-ROMのリージョンコードに関しては、一度は廃止の方向でまとまっており、実際に取り入れられるかどうかは現時点では不明だ。
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