北米でパナソニックブランドが“急上昇”した理由:インタビュー(3/3 ページ)
総合家電メーカーからプラズマディスプレイを中心とするテクノロジカンパニーへとイメージの転換を図る松下電器。同社は2005年、北米プラズマテレビ市場の50%以上を掌握する圧倒的なトップブランドに成長した。その理由を聞いた。
「店頭で比べてもらえばハッキリしていますが、圧倒的にキレイだからですよ。以前は多チャンネル志向が強すぎ、画質もあまりよくありませんでしたが、最近はHD放送が増えています。“アメリカ人は画質を気にしない”なんて話もありますが、たとえばESPNのフットボール放送なんかはかなり精細感が高く、選手一人一人の動きがよくわかります。ドラマ専門、映画専門などのプレミアムチャンネルでHD化が進んでいるところは、全体の40〜50%がHD放送になってきました。HDのビデオ・オン・デマンドも地域ごとにケーブルテレビ会社が対応しています。そうしたコンテンツ環境の大きな変化が原因でしょう」
――日本では32インチから37インチへと売れ筋が変化し、さらに42インチを伺う展開ですが、北米ではどうでしょう?
「現時点での売れ筋は昨年から引き続いて42インチですが、実は50インチのニーズが急増しています。50インチモデルは現在、5999ドルという値付けなのですが、予想以上に市場からの要求が強く、伸びを予想しきれずに品不足になっているほどです。もし製品が潤沢にあれば、50インチモデルがトップセールスを記録するのでは? と思うほどの勢いですね。2006年の年末商戦は、100インチという夢を売りながら、実際のビジネスは50インチモデルが支える展開になると予想しています」
――北米でのプラズマ戦略を展開し始めてから、パナソニックのブランドイメージが北米で大きく伸びた印象があります。これは販売店などを見て回った印象に過ぎませんが、具体的にこれらを示すデータはお持ちでしょうか?
「たとえば、昨年11月の『コンシューマレポート』(北米でもっとも読まれているバイヤーズガイド)では、プラズマテレビのHD部門で1位と2位、ED部門で1位を獲得しました。その勢いもあってか、デジカメでも高倍率ズーム部門で1位、液晶テレビで3位、リアプロでも2位という順位をもらっています。その翌週に出た『ベストギフト』でも、プラズマテレビ部門は圧倒的に1位になっており、プラズマだけでなく、さまざまな分野でパナソニックブランドの認知が向上した効果が出ています」
――薄型の先進的大型テレビにおいてトップブランドになることで、ほかの分野にも好影響を与えているということでしょうか?
「たとえばデジタルカメラですが、北米市場では、ほとんど数字に出ないようなシェアしか持っていませんでした。1%未満です。扱う店舗も少なく、認知度も低い。しかし、全機種に手ブレ補正機能が付いている点を生かし、全米5000店舗を営業マンが回って手ブレ補正機能をアピールすることで、店員に良さを理解してもらうところから手を付けています。そのかいもあって、今年2月からは大手流通に新製品が流れるようになります。一足飛びにシェア拡大は難しいでしょうが、今年は6〜8%ぐらいのシェアを取ることを目標にしています」
――北米市場ではこの春から次世代光ディスク向けのパッケージコンテンツが登場し始めますが、東芝とトムソンが発表したHD DVDプレーヤーの499.99ドルという数字をどのように見ていますか?
「スタート時の価格が500ドルだからといって、急速に普及するとは思いません。北米で本格普及が開始するマジックナンバーは、500ではなく200。199ドルのプレーヤーが登場する頃に急速に立ち上がるでしょうが、それ以前の段階では価格よりもクオリティや多くのメーカーのサポートといったところが重要になるのではないかと考えています」
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