1年で150本近いタイトルを投入する――Sony Pictures:次世代DVDへの挑戦(4/4 ページ)
恒例ハリウッド取材の第2回は、Sony Pictures Entertainmentだ。ソニー系列ということもあり、BDパッケージビジネスにもっとも積極的な映画スタジオ。期待通り、4月から毎月十数本のソフトをコンスタントに発売していくという。
北米では新作DVDが19.95ドルで販売され、一定期間が過ぎると14.95ドル、9.95ドルと下がってくる。これに対してSPEでは、新作DVDの25〜30%増しの価格設定を考えているという。つまり北米ならば25ドル、高価なものでも30ドル程度での販売となる。また、日本市場向けには、現在のスーパービット程度の価格を考えているようだ。
最後に東芝が発表した低価格版のHD DVDプレーヤーが付けた499.99ドルという価格についての考えを聞いてみた。過去、北米ではDVDプレーヤーが500ドルを切ってから普及台数が伸びた背景がある。
「まず第一に499.99ドルは最初の機種としては安いが、普及が加速するマジックナンバーではない。もう少し安くならなければ普及は急カーブで伸びないだろう。第二に異なる仕様とはいえ、1000ドルを予定していると話していた昨年末から、たった3カ月で半額になるわけがない。明らかに不健康なプライシングだ。第三に、BDに賛同する映画スタジオが持つハリウッドコンテンツは全体の90%に達する。対するHD DVDは45%だ。いくら価格が安くとも、どれでも好きな映画を選べないHD DVDプレーヤーが消費者にとって良いものとは思わない」とエクランド氏は辛辣。
最後に「DVDの時はプレーヤーの価格が約1000ドルから市場が始まった。最初に購入するユーザーは、品質の高さを求めるコダワリのユーザー。そのコダワリユーザーに高品質なプレーヤーを届けるには、コストをかけたコダワリ製品でなければならない」と付け加えた。
同席したビクター松田氏も、「CESで、Warner Brothers、販売店、そしてソニーから私が参加して行った次世代光ディスクビジネスに関するパネルディスカッションがあった。さまざまな議論、もちろん499ドルというHD DVDプレーヤの価格なども含め議論を交わしたが、最後に来場者に、自分ならどちらのプレーヤーを選ぶか手を挙げてもらった。HD DVDが良いと答えた来場者はわずか5名だけ。われわれは何も心配していません。粛々と準備を進めるだけです」と自信を見せた。
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