2つの規格をアグレッシブにサポートするWarner:次世代DVDへの挑戦(2/3 ページ)
ハリウッド映画スタジオ取材記事の2社目は、Warner Home Videoの事業開発担当・副社長の横井昭氏に話を伺った。興味があるのは、Warnerがいずれかの規格を優先するのか。これについて横井氏は「全く同じ」と明快だ。
「最終的には、もちろんどちらか一方になった方がいいですね。在庫管理も楽ですし、販売店も陳列棚のことを考えれば統一された方がいい。消費者もどちらの規格用のプレーヤーを購入すべきかで迷う必要がありません。とはいえ、理想と現実は異なります。統一フォーマットの理想がかなわないのであれば、現実の中でビジネスを行う方がベターです。あるいは両方が生き残り、ゲーム機のようになるかもしれません」
年末までに100タイトル、新作は全タイトル発売へ
さて、すでに初期タイトルを発表しているWarnarだが、その後の計画はどうなっているのだろう。
「まず、毎月2〜3本発売される新作に関しては、4つのフォーマットで必ず発売するようにします。DVD、VHS、HD DVD、BDの4メディアです。さらにカタログ(既存)タイトルからも発売していくことになりますが、これについては不確定な部分もあります。トータルで年内100本ぐらいになるでしょう。ハードウェアの売り上げにも影響を受けると思います」
かなりの積極姿勢だが、その背景にはDVDの売り上げを補完する新しい市場の開拓を望んでいる事情がある。DVDの成長が落ち込んでおり、それ以上にVHSソフトの売り上げが下がっているためだ。
「DVDは昨年、1桁台の成長でした。ハードウェアはマイナス成長です。さらにソフトのバイレート(プレーヤー1台あたりのソフト本数)も下がり、以前は22本だったのが現在は13〜14本です。さらに2年前までは半分程度をVHSソフトが占めていたのに対し、現在は2割以下にまで落ちています」
近くVHSソフトは売り上げがゼロ近くになるだろう。くわえてDVDの単価下落傾向が続けば、安定的な成長を望めなくなる。
「なるべく早く、HDソフトの世界へと行きたい。今から取り組んでいかなければ、将来的に収益が難しくなってからでは遅いですね」
では初期のHDソフトはいくらぐらいで発売されるのだろう。
「タイトルによって異なります。あるタイトルは、DVDに比べやや高い程度になるでしょう。しかし、あるタイトルはかなり高くなる可能性もあります。これは制作コストがDVDに比べて高くなる点も一因ですが、同時にDVDビジネスの足を引っ張りたくないという理由もあるからです。また、新作に関してはハイブリッド化をやりたいと考えています。HD DVDは表裏をひっくり返すタイプのハイブリッド(ツインフォーマット)、BDに関してもすでにハイブリッド技術が発表されていますから、可能であれば利用したい」
しかし、ハイブリッド化はディスク複製コストも押し上げる。
「実売で35ドル以上といった高価な値付けとなるでしょうね。しかし、それ以上にハイブリッド化のメリットはあります」
Warnerが望んだHD DVD9、BD9の使いどころ
BDは1層25Gバイトからスタートし、50Gバイトディスクがそこに混ざる。HD DVDは30Gバイトの2層が中心になろう。異なる容量のディスクに対して、どのような映像品質で収められるのだろう。まずコーデックについて話を聞いてみた。
「コーデックは同じものを使うことになります。H.264とVC-1。どちらも基本的には同じです。横浜で2回、グレンデール(Warnerのあるバーバンクの隣町)で2回、パラマウント近くの劇場で1回。紙一重でVC-1の方が勝ちましたが、現時点で両コーデックの実力はほぼ同等だと思います。新作については映画監督など制作側が選択していますが、旧作に関してはわれわれWarnerがコーデックを選んでいます」
では、Warnerが初期タイトル向けに選んだコーデックとは?
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