1ギガiPod nanoの登場は何を意味するのか:コラム(3/3 ページ)
突如発表された1ギガiPod nano。shuffleの値下げもあわせて行われたことから低価格帯iPodへのテコ入れと見られているが、それだけではない“何か”を感じることもできる。
鍵を握るのはクリックホイールとワイヤレス双方向通信か
今回の新製品投入は、低価格帯iPodのラインアップに厚みを持たせる(iPod nanoがメインストリームの商品と明確に位置づけられたと言い換えてもいいだろう)ことが目的であることは疑う余地がない。では、次にiPodがシリーズ全体でやるべきことはなんだろう。これについては小寺氏が興味深い考察を行っている。
ここで小寺氏は「ワイヤレスによる双方向通信」をiPodの向かう方向性にあげているが、これは筆者も賛成だ。iPodへの通信ユニット搭載はいまだ果たされていないが、MacとiPodをつなぐモノは既に存在している。第5世代iPod投入に先駆けて発表されたインタフェース「Front Row」だ。
Front Rowはクリックホイールを模した操作部を備えるリモコン「Apple Remote」で対応するMacにインストールされたiTunesやiDVD、iPhotoを操作するものだが、iPodでもUniversal Dcokを組み合わせることで、そのリモコンによる操作が可能となっている。
iPod+Universal Dcok+Apple Remoteの組み合わせでも、現時点では曲の再生/停止、早送り/早戻し、音量調整などが行えるのみだが、Apple Remoteには「Menu」ボタンも用意されており、iPod側のファームフェアアップデートなどでリモコンからのフル操作も可能になることが予想される。
Front Rowでそのポイントになるのは、クリックホイール的な操作インタフェースであり、その普及のためにはクリックホイールを搭載した機器=クリックホイールを搭載したiPodがどれだけユーザーの手元に存在するかにかかっている。
1GバイトiPod nanoの投入は、クリックホイール搭載機器の出荷台数を増やす一助になることは間違いない。iPod(=クリックホイール)に慣れたユーザーならば、Front Rowによる操作もすんなりとこなせるようになり、将来的にワイヤレスによる双方向通信機能を備え、Macや周辺機器の操作が可能なiPodが登場した際にも、その操作感覚はスムーズに受け入れられるだろう。
ここまではすべて筆者の考えであり、想像の域を出るものではない。しかし、低価格nanoの投入が、アップル製品を横断するクリックホイール的な操作インタフェースの普及を狙う同社の布石であるとしたら、その深謀遠慮には脱帽するほかない。
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