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“HDD内蔵”はデジタルCATVの救世主になるか?コラム(2/2 ページ)

今月、ヒューマックスと松下電器産業から相次いでHDD内蔵のCATV STB(セットトップボックス)が登場した。デジタルCATVは「録画環境に恵まれてない」という評価を過去のものにできるのだろうか? “HDD内蔵”の意味を考えてみた。

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 2つのHDD内蔵STBを少し詳しく見ていこう。ヒューマックスのJC5000は、地上デジタル/BSデジタル/デジタルCATVのチューナー(64QAM変調方式)を2基搭載し、裏番組録画を可能にしている。下の写真を見るとよく分かるが、デジタルCATVを2チャンネル同時に録画することもできるのだ。今まで、同じことをしようとすればSTBを2台レンタルしなければならなかったのだからから、これは画期的といえるだろう。

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専門チャンネルを同時に録画中

 また、追っかけ再生やEPGによる番組検索などをサポートするなど、なるべくデジタル放送対応DVDレコーダーの使い勝手に近づけようとしていることがわかる。DVDドライブの非搭載は残念だが、i.Link端子でD-VHSデッキなどへのムーブは可能。さらにケーブルモデムを内蔵し、J:COM独自のVoDをサポートしている。デジタル多チャンネル放送やVoDを一台で楽しめる、かなり贅沢なSTBだ。

 松下電器産業の「TZ-DCH2000」は、まず「新しいDIGAですか?」と言いたくなりそうな外観が目新しい。「Tナビ」や「ビエラリンク」といった独自技術を積極的に取り入れている点も特徴で、とにかく松下らしい製品といえそうだ。

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松下電器産業の「TZ-DCH2000」

 チューナーは地デジ/BSデジ/CS110の裏番組録画が可能な“ダブルチューナー”(64QAM)。松下電器によると、別々のデジタルCATVチャンネルを含めた形で2番組の同時録画ができるという。「地上デジ/BSデジ/110度CSのトランスモジュレーション方式、およびCSリマックス、JC-HITS、i-HITSなどのCATV多チャンネル放送を含めて裏番組録画が行える」。CATV局によってサービスには差があるものの、現在考え得るサービスをほぼ網羅した形だ。録画番組は、やはりi.Link経由で外部機器にムーブできる。

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「TZ-DCH2000」の背面。非常にシンプルだ。HDMI端子はビエラリンクにも対応している

 個人的に気に入ったのは、テレビ出力とは別に「録画専用出力端子」(コンポジット)を装備していることだ。これは、録画機器用にオンスクリーン表示などのない映像信号を出力するというもの。STBの内蔵HDDと外部接続DVDレコーダーで同じ番組を同時に録画できる。ただコピーワンス番組では外部接続レコーダーのHDDに保存してしまうとDVDメディアへのムーブが不可能になるので、DVDへ直接録画するほうがいいだろう。

 HDD内蔵STBは、単に録画できるだけではない。EPGやVoDといった周辺機能も含めた形で大幅な機能アップを果たしており、単なるチューナーから家庭内のメディアセンター的な存在になると想像できる。今のところ、CATV市場に与える影響は未知数だが、少なくとも録画環境に悩む既存CATVユーザーにとっては救世主になり得るはずだ。

 気になるレンタル料金は、J:COMが月額840円。イッツコムでは「レンタル料金などは未定。売り切りも検討している」という。――なるべく安く、お願いしたい。

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