「iPod課金」の本格議論がスタート
文化庁は文化審議会著作権分科会 私的録音録画小委員会の第1回会合を開催した。私的録音録画補償金問題の見直し、いわゆる「iPod課金」の問題について審議を行い、2007年12月には報告書を提出する予定。
文化庁は4月6日、文化審議会著作権分科会 私的録音録画小委員会の第1回会合を開催した。
同分科会では2005年に私的録音録画補償金問題の見直し、いわゆる「iPod課金」の問題について審議を行っていたが、通年の審議を経ても結論は出されず、継続審議という扱いになっていた。本小委員会はこの問題を審議するために新設されたもので、2007年12月をめどに報告書を提出する予定となっている。
今回は主査の選任と検討の進め方についてのディスカッションが主で、踏み込んだ議論は行われなかったが、従来までの意見のほかにも「法令で厳密に定めるより、市場にある程度任せた“デジタル的なドンブリ勘定”のほうがうまくいくのでは」「補償金制度がユーザーへ聞く権利を担保するように、プラスに働くことも想像できる」など、これまでにはなかった意見も多く見られた。
小委員会は18名の委員で構成され、主査は法制問題小委員会と同じく中山信弘氏(東京大学教授)が務める。今後は月1回のペースで会合を持ち、8月下旬には著作権分科会へ審議の経過を報告するし、12月には著作権分科会報告書を作成する。その後、2007年9月ごろには著作権分科会で報告・審議された報告書(案)をもとに意見募集(パブリックコメント)を行う予定となっている。
なお、中山氏をのぞく参加委員は以下の通り。
荒巻優之氏(日本放送協会マルチメディア局著作権センター著作権部長)、井田倫明氏(日本記録メディア工業会著作権委員会委員長)、大渕哲也氏(東京大学教授)、華頂尚隆氏(日本映画製作者連盟事務局次長)、亀井正博氏(電子技術産業協会法務・知的財産権総合委員会著作権専門委員会委員長)、小泉直樹氏(慶應義塾大学教授)、河野智子氏(電子技術産業協会法務・知的財産権総合委員会著作権専門委員会副委員長)、小六禮次郎氏(日本音楽作家団体協議会理事長)、佐野真理子氏(主婦連合会事務局長)、椎名和夫氏(日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター運営委員)、津田大助氏(IT・音楽ジャーナリスト)、土肥一史氏(一橋大学教授)、苗村憲司氏(情報セキュリティ大学院大学教授)、生野秀年氏(日本レコード協会専務理事)、松田政行氏(青山学院大学教授/弁護士)、森忠久氏(日本民間放送連盟常勤顧問)、森田広樹氏(東京大学教授)。
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