“クルマでもビエラ”を目指すパナソニック:インタビュー(2/2 ページ)
地デジやワンセグなど、放送のデジタル化はリビングのテレビだけではなく、2000万台もの市場を持つ車載用テレビにも影響を与えている。2005年夏にいち早く地デジ対応カーナビを投入したパナソニックに話を聞いた。
「車内でデジタル放送」の課題
――「TU-DTV100」と「TU-DTV20」はいずれもアンテナ入力を2つ備え、2つの信号を合成するキャリアダイバー方式を採用しますが、1系統では走行中の安定した受信は難しいのでしょうか。
高橋氏: 車載という用途を考えると、やはり1系統では安定した受信は難しいですね。2系統用意すれば、電波が弱いところでもクリアに映りますし、高速道路での移動中でも大丈夫です。
アンテナですが、これから地上デジタル/ワンセグ対応チューナーを購入する人には、フィルムでもロッドでも構いませんが、デジタル放送対応製品への買い換えをお勧めしています。感度面ではロッドの方が優れているように思われますが、(試験放送時より電波の強い)本放送が開始されていますので、好みのタイプを選んでもらって構いません。
――デジタル放送ならばクリアな映像が楽しめますし、カーナビへのHDD搭載も進んでいます。HDDカーナビをレコーダー的に利用することは想定していますか?
高橋氏: 車内で放送を録画するという、その需要があるかないかも含めて検討していますが、車内における録画には2つの大きな課題があります。それは、録画する時間帯に「車が電波を受信できる場所にいるか」と、「車内の電源が入っているか」です。技術的にどう対応するかも含めて検討していきたいと思っています。
目指すのはクルマで楽しむ「ビエラ」
――2011年のアナログ停波を控え、車載用テレビはどのように変化していくのでしょう。
高橋氏: テレビ放送はデジタルからアナログへの過渡期を迎えています。2011年の停波からスケジュールを逆算していくと、新車は2〜3年のサイクルでモデルチェンジをしていきますから、2007年ないし2008年に登場する新車には自動車メーカーの純正オプションとしてデジタルチューナーが用意されると思います。
――デジタルチューナーは現在、外付けタイプしか用意されていませんが、普及とともに、カーナビ/カーテレビへの内蔵も進むのでしょうか。
高橋氏: 将来的にはナビシステムに内蔵する方向へ向かっていくと思いますが、技術的な課題もあります。
内蔵するには小型化を進めなくてはいけませんが、3波対応の製品はチューナーを3機搭載しなくてはなりませんし、地上デジタル/ワンセグだけに対応する製品でも、B-CASカードスロットを搭載するスペースを確保しなくてはなりません。私たちも含めたカーナビ/カーAVメーカーからは、B-CASカードをソフトウェアとして実装できるように働きかける動きもあります。
わたしたちもStrada本体へのデジタルチューナー内蔵を検討していますが、このような技術的な問題を解決する必要があります。デジタル放送がワンセグを含め全国をくまなくカバーするまでにはまだ時間がありますが、チューナーの低価格化も含めて、早急に対応していきたいですね。
(家庭用テレビ“ビエラ”は高画質で定評がありますが)私たちが車載用テレビに思い描いている姿は「車内のビエラ」なんです。“ビエラとしてかくある姿”を実現できるよう、これからも改良を進めていくつもりです。
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