「最初はタコ壷だった」――iPod用ひょうたんスピーカー:インタビュー(2/2 ページ)
異色のiPod用スピーカーとして人気なのが、バード電子の「iPod用ひょうたんスピーカー」だ。いったいどんな経緯で誕生した製品なのか、製造販売元であるバード電子に話を聞いた。
「ひょうたん」で打破した自社製品のマンネリ化
バード電子は斉藤氏が1983年に設立した会社だ。当初は工場設備で使用される制御基盤用のフラットキーボードスイッチを設計、開発していた。現在も売り上げの半分近くは業務用の製品だ。10年ほど前から、PC用のアクセサリーを製品化し始め、なかでもノートPC用の冷却台が大ヒットとなる。特にMacのユーザーグループで話題となり、その後もMac用の冷却機器やプロテクターなどのアクセサリーを次々と製品化してきた。当然、Macの周辺機器として登場したiPodへの対応も早く、「EZISON」シリーズなど外付けスピーカーシステムは他社の先駆けとなる存在だった。
ただ、優れたアイディアを製品化しても、ブランドや販売店への影響力という点では大手メーカーにかなわない。同様の製品が他社から登場する前に新しいアイディアで勝負していく必要がある。同社のiPod用スピーカーには、昔のラジカセタイプやサイコロ型、枕カバー型などユニークなものが数多くあるが、それでもどこかマンネリ化を覚えていたという。なにか新機軸の製品を打ち出す必要があると感じていた。そんな中で、iPod用ひょうたんスピーカーは製品化された。
契約農家からのひょうたんで、製品を安定供給
――これまでで、販売数はどれくらいになるのでしょうか。
斉藤氏: 全部で200〜300個にはなると思います。「がらくたフェア」で数個ずつ売るというのを数回繰り返したあと、数十個をストックしてから放出してきました。ただ、自然の物ですから収穫される数や色、大きさが違ってきます。製造や加工も先ほどのような実情なので、キッチリした販売スケジュールが組める段階ではないですね。
――「ひょうたん」という素材の供給不足が最大のネックですか?
斉藤氏: そうですね。瓜の仲間でへちまのように一年で大きくなって収穫するものなんですが、そうそう売ってるものではないですよね。当初は茨城の「ひょうたん美術館」に行って購入していたんですが、そこの在庫を買い切ってしまったので新しい調達先を探していたところでした。幸い、メディアで取り上げていただいた後からは、ひょうたんを作っている農家さんや、富山で「ひょうたん村」を運営する立山ひょうたん村協同組合さんなどから引き合いがありました。今年後半〜来年までには安定供給できると思います。
先日はひょうたんを作っているという方が、軽トラにひょうたんを積んでお見えになりました。でも今のひょうたんのニーズって観賞用なので、細長いとか微妙にカーブしてるとか変わった形の物が好まれるようです。あまりスピーカーには向かない形だったし、同じような大きさの物がなかったのでお引取り願いました。
大きさや色がそれぞれなのが天然素材の良さですが、ある程度は大きさや形がそろっていたほうが製品化しやすいですから。ある農家さんには、形の良いひょうたんの種を植えるなどの工夫をしてもらっています。
――今後の展開などをお聞かせください。
斉藤氏: ひょうたんスピーカーは非常に好評ですし、次はいつ売るのかという声もたくさん頂いています。先ほどのように、契約農家さんから直接ひょうたんを仕入れるようになりますので、これからは1年を通じて販売できると思います。
購入した方に聞くと、ひょうたんスピーカーをぶら下げて使う方が多いんですよ。それだとちょっと不便だと思うので、ぶらさげる以外の方法で使えるような専用のスタンドを企画中です。自立型のひょうたんスピーカーも面白いかもしれません。
ビジネスという面ではまだまだですが、天然素材を使った製品への手ごたえは感じています。すでに竹を使った製品の試作を進めてまして、もう少しでお披露目できると思います。ひょうたんや竹なら他社さんもそうそう製品化しないと思いますので、これからも「ヒョウタンといっしょ」です。
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