「クルマのWeb 2.0」――ホンダ インターナビ・プレミアムクラブ:インタビュー(3/3 ページ)
カーナビは道案内を行う道具だが、最近では「いかに快適かつ迅速なルートを案内するか」に焦点が移りつつある。通信機能を利用した双方向ネットワークを実現する「インターナビ・プレミアムクラブ」で、その問題を解決しようとしている本田技研工業に話を聞いた。
「情報も車の性能の一部」、今後の課題と解決
――受けられるサービスを聞く限りではいいことずくめのように思えますが、「携帯電話を接続しなくてはならない」という点は、手間やコスト的にユーザーの負担にならないのでしょうか。
今井氏: 確かに通信はインターナビにおいて必要不可欠な要素ですが、大きなネックでもあります。ユーザーへ不満点に思うところを調査したところ、目立ったのは「電話代がかかる」「携帯電話を接続するのが面倒」「3G携帯に対応して欲しい」という意見でした。
そこで、専用PHSカードを利用した月額1050円からの定額制プランを今年の2月から提供開始しました。定額制プランを開始してまだ間もないですが、既に1万人以上の方に申し込みを頂きまして、走行データの収集ペースもアップしています。
携帯電話との接続についてはワイヤレスで接続可能なBluetoothを本命と考えています。もっとBluetooth対応の携帯電話が多く登場すればいいのですが、そこは携帯電話キャリア側に期待するしかないですね。
通信モジュールを内蔵するという考えもありますが、内蔵するにはまだまだモジュールの単価が高すぎます。1万円を切れる価格になれば検討できるのですが……。エリアや高速移動中の受信など課題もありますが、無線LANを通信インフラに利用できればどれだけ便利かと思ってしまいますね。
――インターナビ・プレミアムクラブで提供している各種ナビゲーションサービスは、まさにITS(高度道路交通システム)そのものだと思います。政府も国土交通省らが主導してITSの開発・普及を進めていますが、まだこれほどきめ細やかなサービスを提供できていません。なぜ、いち企業であるホンダがここまでのサービスを提供できるのでしょう。
今井氏: ITSにおいては「数の性能」という言葉があります。何万台の対象車、何万キロメートルの走行データがないと正しい情報が提供できないという意味で使われますが、国のITS事業はすこし数の性能を厳格にとらえすぎているように思います。
インターナビ・プレミアムクラブで提供している各種ナビゲーションサービスについて、「ホンダ車だけで情報を集めたサービスじゃないか」と言われることはあります。ですが、私はまずは始めることが大切だと考えたのです。サービスを開始すれば自然とデータは集まっていきますし、集まれば集まるほど精度は向上していきます。
――サービスの利用料は無料ですが、トヨタや日産のように基本料金を設定することはあるのでしょうか。また、今後改善を進めていくポイントは何だと認識していますか。
今井氏: 料金はコールセンターサービス「QQコール」を除いてすべて無料ですが(QQコールは年間4000円)、トヨタや日産のように基本料金を設定し、サービス全体を事業化する考えはありません。私たちは快適にドライブするための情報も、車の性能の一部として考えていますから。
今後の課題ですが、とにかく情報の精度を高めていくことに尽きると思います。現在のシステムでは“開かずの踏切”のような渋滞原因を特定し、回避することはまだ実現できていませんし、突発的な事故への対応もまだ十分とはいえません。「より早く、的確なルートを案内する」というインターナビ・プレミアムクラブの目的に向かって、今後も努力していきたいですね。
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カーテレマティクスの将来を探る上で、自動車メーカーの考え方を知ることは重要だ。ホンダのカーナビ設計思想はユーザー志向で、なおかつ競合他社とは異なる方向性を持つものだという。
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