“HDD内蔵テレビ”の録画機能を比較:バイヤーズガイド(3/3 ページ)
今回は、薄型テレビとハイビジョンレコーダーの機能を併せ持つ“HDD内蔵テレビ”に注目。東芝“REGZA”「32H1000」と日立“Wooo”「W32L-HR9000」を使い、録画機能を比較してみよう。これが結構、便利なのだ。
東芝お得意の「ちょっとタイム」は、来客や電話などでちょっと席を外す際、少しの間視聴を中断するときに便利な機能だ。リモコンの「ちょっとタイム」ボタンを押すと視聴中の番組を録画し、もう一度ボタンを押すと録画を始めたところから続きを視聴できる。
今回の製品では、外部入力映像のちょっとタイムにも対応。これで、CATVやスカパー!で専門チャンネルを見ている場合でも、気兼ねなくトイレに行けることになった。また再生時には、1.3倍の「早見早聞き再生」などを併用して放送に追いつくこともできる。なお、ちょっとタイムで録画したファイルも通常録画と同様に保存できるようになっている。
注意点は、ちょっとタイム機能が“ループ録画”になっているため、あらかじめ設定した録画時間(デフォルトで30分)を超えると、最初のほうから消えていってしまうこと。録画時間は30分もしくは60分を選択できるため、長電話が多い人などは60分を選択しておこう。
日立Woooにも同様の機能がある。名称は「タイムシフト機能」だ。番組視聴中にリモコンの「タイムシフト」ボタンを押すと、画面がそのシーンで静止。用事をすませたあと、「一時停止」または「再生」ボタンを押すと続きをみることができる。使ってみた印象は、ビデオデッキやDVDレコーダーの再生/一時停止と変わらない。異なるのは、それが録画番組か、リアルタイムの放送かという点だけだ。
東芝REGZAだけの機能――「今すぐニュース」「テレビ de ナビ予約」「メール予約」
東芝REGZAの特徴の1つに、いつでも最新のニュースを見ることができる「今すぐニュース」がある。これは、定期的にニュース番組を自動録画しておき、専用の「今すぐニュース」ボタン一発で直前のニュース番組の再生を始めるというもの。従来モデルにも実装されていたが、今回はハイビジョンのニュース番組を録画できるようになった。
設定した番組がほかの録画予約などと重なると、録画予約が優先されるほか、BS/CSデジタル放送のニュース番組を録画しているときにほかのBS/CSデジタル放送を選局すると録画が中止されてしまうといった制約はある。ただ、ニュース番組を複数登録しておけば直前の番組が残るため、あまり問題はないだろう。
もう1つ、忘れてはいけないのが「テレビ de ナビ予約」とメール予約機能。「テレビ de ナビ予約」は、東芝のDVDレコーダー「RDシリーズ」との組み合わせたとき、REGZA側で予約録画をするとイーサネット経由でRDに録画情報が転送され、録画できるというもの。録画番組には番組名や番組情報も転送してくれる。
「テレビ de ナビ予約」を使う際はネットワークの設定を行う。RDシリーズのネットワーク設定で本体名やユーザー名などをチェックしておき、REGZAの「テレビ de ナビ」設定で選択。あとは連動するライン入力を決め、再起動するだけだ。「ネット de ナビ」を使っている人なら問題ないだろう
またREGZAの場合、Eメール予約機能を使えば外出先の携帯電話やパソコンから録画予約が行える。ただし、Eメールを記述する際に識別コードや録画チャンネルの略号など特定の書式を憶える必要があり、初めて使う人には少し敷居が高いかもしれない。携帯電話なら「テレビサーブモバイルサービス」も利用できるため、こちらのほうがオススメだ。
日立Woooだけの機能――「編集」「ムーブ」
逆に日立だけの機能となるのが、録画番組の編集やダビングだ。
チャプター設定は、再生やサーチ、コマ送りなどのボタンを使ってシーンを選択。決定ボタンでチャプターポイントを設定すればいい。CMなどのチャプターを選び、カラーボタンの「青」を押すとスキップ設定だ。
TSやTSEモードで録画した番組は、i.Link経由でD-VHSや特定のレコーダーにムーブ可能。同社のD-VHS「DT-DRX100」のほか、ハイビジョンレコーダー「DV-DH1000D/500D/250D/160D」、アイ・オー・データ機器の“Rec-POT”(M以降)が利用できる。
もう1つ憶えておきたいのは、i.Link接続した外部機器を録画先としても指定できること。動作確認済みのi.Link機器には、上記の同社DVDレコーダーとD-VHS、Rec-POTのほか、日本ビクターのD-VHS「HM-DHX1/DHX2/DHS1」などがある。録画時間や拡張性についてはWoooのほうが上であることは間違いない。
日立と東芝、アプローチの違い
実際に試用してみた率直な感想は、両社のアプローチにかなり違いがあるということだ。録画時間を増やす「TSE録画モード」やi.Linkによるムーブに対応した日立Woooは、DVDレコーダーの役割をテレビに持たせようとしている。
またムーブ機能は、録画した番組を別メディアにアーカイブできることを保証するもの。Blu-rayやHD-DVDのレコーダーが一般化したとき、改めてムーブ対応のレコーダーを購入する手もあるわけで、レコーダーが過渡期に差し掛かった今だからこそ、導入を検討したいモデルといえる。
一方の東芝は、従来モデル“ちょっとタイムface”のコンセプトを引き継ぎ、HDDを一時的なキャッシュと捉える独自路線を追求している。たとえば、「ちょっとタイム」機能は録画開始までの時間を短縮し(約2秒で録画可能)、「今すぐニュース」はデジタル放送に対応するなど、地味ながら重要なブラッシュアップを果たした。
i.Linkは搭載せず、HDD容量も160Gバイトと少なめだが、“見たら消す”スタイルの人なら問題はないレベルだ。HDDが一杯になるとロックしていないファイルを古いものから順に削除する仕様もHDDに溜め込んで結局見なかったことがあるという人たちには便利かもしれない。少なくとも「HDD容量が足りず、見たかった番組が録画できていない」という事態は避けられるからだ。
録画機を搭載したテレビは決して新しいジャンルではない。ブラウン管テレビとVHSビデオを組み合わせた“テレビデオ”が1つの製品ジャンルになっていたこともある。しかし、HDDやEPG、二画面表示といった新しいデバイスや機能の登場は、以前とは一味も二味も違う利便性をもたらした。
サッカー・ワールドカップの開催も迫り、テレビやレコーダーの需要が増えるこの時期。「とにかく手軽に録画したい」「DVDレコーダーは次世代DVD待ち」という人たちは、HDD内蔵型を検討してみてはいかがだろうか。
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