専門チャンネル、ハイビジョン化の道のりは長い?:コラム(2/2 ページ)
地上波やBSがハイビジョン放送を前提にしているのに対し、スカパー!やCATVの専門チャンネルはハイビジョン化があまり進んでいない。先週、国際展示場で開催された「ケーブルテレビ2006」の会場で、その理由を探った。
たとえばIMAGICAの担当者は、「今は“様子見”の段階。HOGが本当に普及しないと難しい」と指摘する。今のところ、JDSのアクセスポイントは関東のほかに関西に1カ所、九州に1カ所あるだけ(名古屋にも設置予定)。ポイントまでの伝送路を確保する体力のない地方のCATV局は利用できないからだ。
また、ニューズ・ブロードキャスティング・ジャパンでは「ケーブルテレビの帯域不足」を指摘した。ここでいう帯域とは、HITSやHOGのような中継路ではなく、CATV局からユーザー宅に至る同軸ケーブルのこと。近年、CATVは同軸ケーブルに光ファイバーを組み合わせたHFC(Hybrid Fiber Coax)構成への切り替えが進み、770MHzの帯域を利用できるようになったが、それでも伝送できるチャンネル数は100程度。既存のアナログ放送やデジタル多チャンネル放送、さらにPPVやVoDなどのサービスを考えると「いっぱいいっぱいの状態」(同社)だという。
「それでもHFC化が済んだCATV局はまだいい。地方にいけば、第三セクターのCATV局など従来の450MHz帯域を使い続けているCATV局もまだ多く、ハイビジョン化以前にデジタル化を考えなければならない」。
たとえハイビジョン番組を提供しても、買ってくれる顧客(CATV局)が少なければ採算がとれない。逆に現状では、帯域を使うハイビジョンチャンネルが、“売りにくい商材”になる可能性もある。
ただ、各社とも水面下でハイビジョン化の準備は進めている。「旅番組などの新作は、完パケまでハイビジョン収録」(IMAGICA)というように、撮影や編集の作業は既にハイビジョンを前提としたものに移行しつつある。多少の温度差はあっても、各社とも将来的にハイビジョンコンテンツを増やしていくことは既定路線と捉えているようだ。
では、本格的にハイビジョン化へ乗り出すタイミングは、いつなのか。「2011年のアナログ停波までには、CATVも順次アナログ放送を停止する。現在のアナログ放送がなくなれば、空いた帯域を使ってハイビジョンを含めてチャンネル数を増やすことができるだろう」(ニューズ)。つまり、CATVの“オールデジタル化”が大きな転機になるという。
また、スカパー!も2008年をメドにH.264によるハイビジョン放送を展開する計画を明らかにしており、そのタイミングで専門チャンネルのハイビジョン化が一気に進む可能性を指摘する声もある。「具体的なスケジュールは決めていないが、2〜3年後には状況が変わるかもしれない」(IMAGICA)。
いずれにしても、専門チャンネルのハイビジョン化は、今後数年をかけてゆっくりと進むことになりそうだ。
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