BDソフトの本命、最新PHLエンコード画質の衝撃(3/3 ページ)
パナソニックハリウッド研究所(PHL)開発の最新H.264 High-profileエンコーダによる映像を確認する機会を得た。年初の「CES」で見たものより低いビットレートで、さらに良い画質を実現している。
DMP-BD10は、297MHz14ビットの映像DAC、192kHz24ビットのオーディオDAC(2チャンネル×5)、1080P対応HDMI出力を搭載したBDプレーヤーだ。公開されていないが、おそらく米SigmaDesignsのBDプレーヤー向けシステムチップをベースに開発されたものだろう。くわえてDVD再生時のHDMI出力画質やフルHDコンテンツを720Pなどに変換出力する際の画質を向上させるため、「P4HD」というオリジナルの映像プロセッサも搭載している。
映像系で注目は、東芝「RD-A1」でも採用されていたアナログデバイセズの297MHz14ビットDACだが、今回はアナログディスプレイでの試聴はしていない。しかし、もうひとつのP4HDに関しては大変よい感触を持った。
この映像処理プロセッサは“DIGA”「DMR-EX550」に採用されている「美画質コンバータ」と同じとのことだが、プレーヤーの場合はソース側のS/Nが良いことが想定できるため、より精細感を高める方向でのチューニングを進めているという。
EX550のハイビジョン映像も相当にきれいだったが、BD10もその良さを引き継いでいる。くわえてDVD再生時の画質は最新の高級DVDプレーヤーが備える高品質スケーラにも勝るほどの優秀さだ。シュートを最小限に抑えながら、輪郭を滑らかかつシャープに描き、DVDに収められている限られたディテールを浮かび上がらせる。
音声系はアナログ7.1チャンネルと2チャンネルの同時出力が可能なほか、一般的なSPDIF出力、さらにリニアPCMマルチチャンネルをHDMIから出力可能だ。このうちアナログ音声の出力段は、コンデンサーに蓄電した電力で回路を駆動するバーチャルバッテリーオペレーション回路を採用することで、電源からのノイズ混入を防いでいる。
試聴機はまだ試作段階とのことだが、その音はテクニクスらしい清楚で耳当たりの良い音だ。くわえて濃密感や重心の低さも感じる。派手な装飾はないが実直な音。初期出棺段階ではDolbyDigitalやDTS、リニアPCMのほかは、DolbyDigital Plusに対応するだけだが、アップデートによりDTS-HD Master Audio(ロスレス圧縮)などにも対応する予定。
日本ではBDレコーダーしか発売予定のない松下電器だが、すべてではないものの、DMP-BD10開発で得たノウハウや使用したデバイスは、BDレコーダーにも反映されるという。
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