今後数年間は「HDMI 1.3」で十分――HDMI Licensing
HDMI Licensingは、先月末に発表した新バージョン「HDMI 1.3」の説明会を催した。
米HDMI Licensingは7月13日、先月末に発表した新バージョン「HDMI 1.3」の説明会を催した。同社はHDMI開発の主要メンバーである米Silicon Imageの完全子会社で、HDMIのライセンスと普及/PR活動を担当する代理店という位置づけだ。同社のレスリー・チャード社長は、HDMIが急速に普及している現状に触れた後、仕様の概要と新しいフィーチャーを解説した。
HDMI 1.3は、従来のHDMI(〜1.2a)に比べて帯域幅を2倍以上に拡大した点が大きな特徴だ。具体的には、シングルリンク帯域幅を従来の165MHzから340MHzに広げ、伝送容量は4.95Gbpsから10.2Gbpsへと高速・大容量化した。これにより、解像度やリフレッシュレート、色深度など画質面の優位性が増す。
解像度では、1920×1080ピクセルを大きく上回る2560×1600ピクセル(WQXGA)までをカバー。テレビなどの民生機ではオーバースペックともいえるが、PC用ディスプレイを考慮すると重要なだという。たとえば、現在は情報量の多さからデュアルリンクDVIを使用しているアップルの30インチ「Cinema Display」やデルのWQXGAディスプレイなどが1つのインタフェースで接続可能となり、「機器のコスト削減に繋がる」(同氏)。またリフレッシュレートは最大120Hzをサポート。チラツキのない画面でゲームなども快適になるという。
色深度は、現在の24bitカラー(1677万色)を48bitまで拡張できる。「数百万から数十億色まで向上した色深度は、より滑らかな画像と高いコントラスト比を実現する」。
色といえば、ソニーが提唱する次世代カラースペース「xvYCC」をサポートしたことも大きなトピックだ。カラースペースとは、表示または人間が知覚することのできる色の範囲を示したもの。従来のNTSCでは「自然界にある色のほんの一部だけ」が含まれていたが、xvYCCにより人間が知覚できる色のすべてを包含できることになる。
もちろん、実際にxvYCCの映像が見られるようになるには、カメラなど撮影環境からテレビまでがxvYCCに対応しなければならないが、チャード社長はソニー「BRAVIA」に搭載されたバックライトシステム「カラークリエーションなど」の例を挙げながら、既に一部でNTSCを超えるカラースペースを持つ機器が登場していることも報告した。
HDMIは音声も1本のケーブルで伝送できるが、1.3では音質の向上が期待できる。これには、Blu-rayやHD DVDがサポートするDolby TrueHDやDTS-HDが含まれ、ロスレスフォーマットにより「劇場映画と同じような環境を家庭に持ち込むことができる」(同氏)。
このほか、音声と映像の遅延を自動修正するLip Sync機能やカムコーダーなどに使用されるミニコネクタなどもHDMI 1.3の新しい機能だ。Lip Syncは「遅延は、主に1080Pなど大容量の映像により、処理が複雑になったために生じるもの。HDMIではレイテンシ(遅延)情報をソース側(プレーヤー)で検知して情報を自動的にやり取りする」と説明した。
「HDMI1.3で先陣を切るのはソニーの『Playstation 3』だろうが、2007年の第1四半期にかけて他社からも多くの対応機器が登場するだろう。HDMI1.3には、今後数年は(技術の進歩に)十分対応するだけの機能がある。とはいえ、進化は続けていくつもりだ」(同氏)。
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