大きな進化を遂げた新世代“DIGA”――「DMR-XW30」(4/4 ページ)
パナソニックのDVDレコーダー「DIGA」にデジタル放送2番組同時録画対応の新モデルが投入された。単にデジタル放送の2番組同時録画に対応しただけではなく、「DIGA」の弱点とされていた録画番組の管理、再生機能にも大きくメスが入った。
書き込み品質は秀逸だ。DVD-R DL、2つのDVD-Rメディアの3メディアに関してはほとんどケチの付けようがないレベルで、TAもDVD-R DLメディアでは全て「Excellent」、DVD-Rの国産メディアでは内周部のみが「Very Good」で残りは「Excellent」と「Excellent」を連発。台湾製メディアですら内周が「Good」で残りが「Very Good」だ。もちろんPI/POエラーも低く、とくに台湾製DVD-Rメディアでは従来機の「DMR-EX350」と比べてぐっと改善されている。DVD-RWメディアに関してちょっと苦手という感じは変わっていないが、問題のあるレベルではない。

この結果を見る限り、DVD-Rへのダビング速度の低下は、書き込み品質向上のための意図的なものではないだろうか。表を見てもらえばわかるが、使用しているメディアは実質リファレンス扱いとなっている太陽誘電製なので、ダビング速度が低下する理由にはまずなりえない。これだけダビング品質が向上しているならば、ダビング速度の低下はトレードオフとして十分納得できるだろう。
より幅広いユーザー層に応える新世代DIGA
「DIGA」シリーズはわかりやすさを重要視し、マスマーケット向けの商品展開行なってきた。結果としてヘビーユーザーには機能的に不満を感じる製品にならざるをえない側面があったが、少なくとも本製品では基本的な部分の不満はほぼ解消されたといえるだろう。
フォルダ機能、タイトル毎レジューム、同一番組の同時録画、電子番組表からのチャンネル切替、ダビングとファイラナイズの一括実行、ブロードバンドレシーバー内蔵によるPCからのリモート操作や外出先からのリアルタイムな操作と録画予約、i.Linkを用いたMPEG2-TSでの無劣化ダビング、スピードよりも書き込み品質重視のダビング機能など、全てが本機で初めて実装されたわけではないが、競合製品に対して欠落していたり、見劣りしていた機能の多くが本機では実装されている。付加機能となる音楽機能に関してもオマケ的な機能ではなく、「これは便利」と思えるレベルに仕上げた。DVDレコーダーが持つ音楽機能としては、もっとも高機能といっても過言ではない。
フォルダ機能にしてもタイトル毎レジュームにしても、イマサラ感はあるが、競合製品の焼き直しではなく、DIGAらしさを失わずに巧妙に取り込んでいる。パイオニア製品のようなドラスティックなユーザーインタフェースの変更もありだとは思うが、とにかく基本を変更しないという姿勢は、高いシェアを持つメーカーの製品としては重要なのだろう。初期のDIGAユーザーが本製品に買い替え/買い増ししても、違和感なく使えると思う。
もちろん製品の性格が大きく変わったわけではなく、基本はラテ欄タイプの電子番組表をこまめにチェックして録画予約、PC連携などはあまり考慮しないといったユーザー向けの製品であることに変わりはない。そういう意味では、東芝「RDシリーズ」やソニー「スゴ録」などを既に利用しているユーザーの買い替え/買い増しターゲットには入りにくいと思う。しかし、たとえば家族で利用することが前提なら、ヘビーユーザーも「これでいいかな」と思える製品に変貌している。
本製品は、あくまで従来の「DIGA」シリーズの枠を超える製品ではないが、従来よりも幅広いユーザー層に対応できる製品になった。DVDレコーダーとしての基本は抑えつつ、ヘビーユーザーに重箱の隅をつつかれるような機能不足は概ね解消された。あえて本製品を選択しない理由があるとすれば「自動録画機能」の欠落だが、自動録画に関しては使いこなしには一定のスキルが必要であり、下手に使って油断していると録り逃しに繋がる。少なくとも連ドラなどの録画であれば過不足のない機能を備えており、むしろ繰り返し録画に連動したフォルダ機能などは競合製品よりもわかりやすく実用的だ。基本機能はしっかり抑えておきたいが、機械の苦手な家族も利用するので……といった人には、デジタル放送対応DVDレコーダーとして今一番お勧めの製品となるだろう。
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