ソニー・西谷氏に聞く、新しいBlu-rayレコーダーとBD関連ビジネスの展開:CEATEC JAPAN 2006(3/3 ページ)
いよいよソニーからBlu-ray Discレコーダーが発表された。2003年の「BDZ-S77」以来、実に3年以上を経ての新製品だ。今後、ソニーはBD映像機器ビジネスの将来をどのように進めるのか。ソニー・コーポレートエグゼクティブSVPの西谷清氏に話を聞いた。
「絵と音は、ソニーとしてちゃんと取り組んでいきますよ。音が良くなければ映像もキレイには見えないものです。高級品となると、やはりプレーヤーの方がやりやすいですね。高級プレーヤー。本当は日本でやりたいのですが、当面は海外向けに開発を続けていきます。現在は全世界に展開していくことが優先されており、ラインアップを各国向けに充実させていく段階ではないため、ハイエンドにまでは手が届かない」
――さて、新製品のBDレコーダーについてもいくつか訊きたいことがあるのですが、まずは普及のタイミングがどのあたりになると見積もっていますか?
「今年年末は、まだまだDVDドライブ搭載のハイビジョンレコーダーが多いでしょう。しかし、来年の暮れには主流まで行かなくても、お客様が購入する際、どちらにしようかと比較対象にする製品になっていると思います。あるいは、それよりも早く普及し、来年末には金額ベースで半分を超えているかも知れません」
――今年は“松と竹”といったラインアップですが、来年は“梅”、つまり低価格版も加えた3ラインアップになっているでしょうか?
「そうですね。市場が拡がれば、自然にラインアップは増えるでしょう。現時点ではわかりませんが、来年には松、竹、梅が揃うかもしれません」
――ドライブが2層対応できなかった理由は何でしょう?記録ができなくとも、BD−RE、BD-Rの2層が読み取れれば、たとえばVAIOで録画した2層ディスクも再生が可能になります」
「搭載ドライブは、もちろん2層対応で設計していました。実際、搭載しているドライブは2層の記録・再生を機能としては持っています。しかし、さまざまなディスクをいろいろな組み合わせで評価したところ、ごく一部に問題が発生しました。環境試験やトリック再生のテストをしたところ、信頼性が確認できない組み合わせがあったのです」
――それはソフトウェアで対処できる種類の原因なのでしょうか? ドライブそのものは2層対応なんですよね。
「残念ながらソフトウェアでは対応できません。問題は信頼性を確認するための評価にかかる時間です。発売ギリギリまで2層対応の努力は続けますが、おそらく発売までに完全な対策と評価結果は得られないことが確実になったため、1層のみのサポートで製品を発表しました」
――BDの記録メディアに関して、一部関係者の間では“25GバイトのRが500円を切ってくるように戦略を練るべき”の意見もあるようですが、この目標は現時点で先が見えてきているのでしょうか?
「他社記憶メディアベンダーのビジネスにも関連するので、不用意には話せません。しかし1枚500円という目標に関しては、(個人的には)同じぐらいの金額になる必要があるだろうと考えています」
――BDには多くの日本の家電ベンダーが名を連ねています。年内は松下電器との戦いになりますが、近い将来、より多くのベンダーが同じBDレコーダー市場で争うことになるでしょう。ではその中でソニーはどんな強みを発揮できるでしょう?
「われわれ自身が考えているソニーの強みは3つあります」
「まず規格策定、ROMオーサリングシステム開発、ROM製造、記録メディア製造、テストラボなどの一貫した活動を通じた高い互換性検証の結果、安心してご使用いただける商品を提供できること」
「次に、キーデバイスからコンテンツまでを手がける唯一の企業として、垂直統合型の事業展開ができること。一例として、ソニーピクチャ−ズとのコラボにより、ハイビジョンホームシアターに最適な画質モードを開発するといった活動をしています」
「最後に得意とするパーソナルコンテンツの分野で、先進ユーザーとの間で培われてきた機能をBD機器とも連携、ハイビジョン商品群の総合力、新しい楽しみ方として提供していること。具体的には、α、サイバーショット、ハンディカム (HDV、AVCHD)の取り込み・自動演出・保存、VAIOによる編集、PSPへの転送・持ち出しなどです」
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