コンパクトに折りたたみ、静かに聴く――ビクター「HP-NC80」:レビュー(2/2 ページ)
日本ビクターからノイズキャンセリングヘッドフォン「HP-NC80」が登場。リーズナブルさも魅力なNCヘッドフォンの実力はいかに。
ノイズキャンセリングの効果はおとなしめ
肝心のノイズキャンセリングは、右側のハウジング部に2つのスイッチを装備し、一方がオン/オフスイッチ、もう一方がキャンセリングモードの変更スイッチとなる。
環境音の逆位相の波形の音を出すためには、環境音を取得するマイクが必要だが、中にはマイクがヘッドフォンとは別に用意されている製品もある。HC80はハウジングにマイクを内蔵するので、別にマイクがあるわけでもなく、すっきりと利用できる。
さて、前述の通りノイズキャンセリングにはオン/オフスイッチがあるので、実際に利用するためにはスイッチをオンにする。オフにしても普通のヘッドフォンとして使えるので、オン/オフを使い分けて電池の消耗を抑える使い方もありだろう。
スイッチをオンにするとスッとノイズが引く感じが分かる。低音で響く空調の音や逆にちょっと高めの地下鉄の加速音など、確かに効果は感じられるのだが、完全に抑えるというわけではない。効果自体はおとなしめといった印象だ。
動作モードにはワイドモードとローモードという2つの「デュアルノイズキャンセリングモード」が用意されており、同社では「飛行機などでの騒音低減」にはワイドモードを、「地下鉄など低音の騒音低減」にはローモードを選択することを推奨している。
ただ、個人的には両者の区別はあまりよく分からなかった。少なくともワイドモードの方が効果が大きいように感じたので、地下鉄内でもワイドモードで問題なさそう。場所や騒音の感じ方によっては効果がはっきりする場合があるかもしれないので、使い分けてチェックしてみるといいだろう。
ノイズキャンセリングをオンにしても音質も音量もさほど変化なく、それでいてスッとノイズが引いていく感じは好感触。もう少し効果が感じられると良かったのだが、それでも気になりやすいノイズはしっかりと低減してくれる。
ヘッドフォンとしては、口径30ミリの高磁力ネオジウムドライバーユニットの採用により、デジタルサウンドの高音質再生を実現するとしており、中高音域の伸びを感じた。
トランペットの高音もきらびやかに再現し、ジャズを聴くには悪くない。反面、低音域がやや弱く、バックで低音を刻むバスドラムやウッドベースが沈みがちだった。なので、どちらかといえばポップス向きという印象。フレンチポップ(今回はFrance Gallの「Poupee De Cire Poupee De Son」とか)あたりが良かった。ロックだったら、Nirvanaの「(New Wave)Polly」のような暗めの曲よりはRamonesのような明るいロックだといい感じ。
本製品は製品ジャンルとしてはNCヘッドフォンだが、過剰なノイズキャンセリングをしないので、普通のヘッドフォンとしても違和感がない。折りたたみのギミックも日常的に使う製品としての使い勝手を高めている。
実売で6000円前後というリーズナブルな価格もうれしいところで、気軽に普段から使えるNCヘッドフォンとしては十分魅力的だ。
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