コンパクトデジカメの2006年を振り返る:コラム(3/3 ページ)
デジ一眼ブームの中、停滞感を漂わせつつあるコンパクトデジカメ。光学式手ブレ補正と高感度撮影が定番化したが、それも一段落。今年の目立ったトピックを取りあげながら、“次の一手”を想像してみた。
松下電器産業の「LUMIX DMC-LX2」もおもしろい。16:9のワイドCCDという唯一無二の強みを持ち、レンズも28ミリ相当という広角レンズを搭載。光学式手ブレ補正と広角という流れを作り上げたのは同社だと思うし、このワイドCCDもおもしろい着眼点だった。
しかもマニュアル撮影にも対応。一眼レフライクにダイヤルでシャッタースピードや絞りを変更することはできないが、新たに搭載したジョイスティックで操作性にも配慮。被写体の動きを検出してISO感度を変動させる「インテリジェントISO感度コントロール」は、さらに精度が上がればもっと期待できる機能だと感じた。
ニコンからは「COOLPIX S7c」と「COOLPIX S10」を取り上げたい。
ニコンは無線LANの導入に積極的で、S7cは無線LANを内蔵しており、撮った画像をワイヤレスでPCへ転送したりプリントアウトしたりと、ケーブルをつないだりカードを取り出したりといった煩わしさがない。
S10はなんと言ってもそのスイバルデザインがいい。レンズ部が回転することでハイアングルからローアングルまで多彩な撮影方法が可能になる。デジカメらしい撮影方法なのだが、すっかり廃れてしまい、残念な部分ではある。S10はスイバル機構のおかげで薄型コンパクトながら光学10倍ズームも実現していているのがいい。
ニコンは、デジカメ内蔵のソフトウェアにも力を入れていて独自色を出している。最近のキヤノンや富士フイルムの顔認識に関する宣伝に不安を感じたのか「顔認識搭載はニコンが世界初」と言っているが、それ以外にも赤目を補正する「アドバンスド赤目補正」や暗い部分を補正する「D-ライティング」、カメラ内でBGM付きのスライドショーを作成できる「Pictmotion」といったように、他社の技術も積極的に取り入れてほかにはないコンパクトデジカメを作り上げている。
ペンタックスとソニーのタッチパネルも将来性を感じさせた。「オプティオ T20」、サイバーショット「DSC-T50」、「DSC-N2」の3モデルが現行モデルだが、人気のTシリーズにタッチパネル液晶を搭載したT50が注目。まだまだ発展途上という感じだが、今後もブラッシュアップを続けて欲しい機能だ。
“次の一手”は?
さて、今年も多くのカメラが登場したが、2006年になって顔認識が大きな注目を集め始めた。ニコン、ペンタックスに続いてキヤノンと富士フイルムも搭載。1つのトレンドとなりつつある。
ハイエンドコンパクトというジャンルの復活も予見させる1年だったと思う。デジタル一眼に慣れるとコンパクトデジカメを使うときもマニュアル撮影をしたいと思うのが人情で、こうした流れは歓迎したい。
手ブレ補正、高感度ときたコンパクトデジカメのトレンドだが、今後は広角レンズや顔認識、カメラ内スライドショーなど、いくつかキーワードはあるが、あっと驚く“次の機能”も期待したいところ。
2007年のコンパクトデジカメがどうなるかはまだまだ分からないが、撮影が楽しくなるようなカメラが続々登場してくることを期待したい。
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