「やれることはやり尽くした」――動画対応の新ウォークマン(後編):インタビュー(2/2 ページ)
前回に引き続き、動画対応の新ウォークマンについて話を聞く。新製品は「ウォークマンのトップモデル」として音質面でも高域補完技術の実装など、大幅な改良が施されている。
――DSEEが効果を発揮しにくい、あるいは最も効果を発揮する条件とはなんでしょう
細萱氏: やはり低圧縮(高ビットレート)のファイルには効果が薄くなります。たくさんの楽曲を持ち運びたいけれど、プレーヤーの容量の関係で高圧縮(低ビットレート)にせざるを得ないといったシチュエーションで効果を発揮する機能ですね。
木野内氏: コーデックによって差も出ますが、MP3/64kbpsぐらいのファイルに適用するのが一番効果的です。ちなみに、DSEEの効果が発揮されにくい非常に低い/高いビットレートのファイルについては電力消費を抑えるため、ユーザー側でDSEEをONにしていても、その楽曲についてだけは自動的にOFFになるようになっています。
――ビットレートの非常に高い楽曲については理解できますが、低すぎても効果が発揮されないのですか?
木野内氏: そうです。あまりにもビットレートが低い楽曲は情報が欠落しすぎていて、補正しようにもうまくできないのです。無理に補正すると音のバランスが崩れてしまいます。
――実際に触ってみると、NW-A1000/3000と同様のインタフェースながらも、イニシャルサーチを含めて全体的に動作が高速化されているように感じます。これもパワーのあるDSPチップを搭載したためでしょうか。
細萱氏: それもありますが、即応性を追及して内部ソフトウェアをほぼ全面的に刷新したことが動作の高速化に大きく貢献しています。
木野内氏: NW-A1000/3000を再分析した際、その操作インタフェース/フローは問題ないが、レスポンスには課題ありと判断しましたので、動作の高速化は新製品にとって大命題だったのです。CONNECT Playerの例もありましたので、快適性の提供は大きなテーマとして認識していました。
――新たに動画と静止画を扱うことになり、ランチャーソフトでそれぞれのメディアを転送するスタイルになっていますが、統合ソフトを新たに開発して添付することは検討しなかったのですか?
木野内氏: SonicStage(音楽再生/転送ソフト)とImage Converter(画像・動画変換/転送ソフト)のいずれもバージョンアップを重ねて完成度を高めていますので、統合するよりも、用途にあわせて使い分けてもらうスタイルとしました。
無論、1つのソフトで完結する方がスマートなことは分かっていますから、Sonic Stageで動画が扱えるようになるなど、改良が進めば将来的には統合ソフトを提供することになるかも知れません。
――「ウォークマンを象徴するトップモデル」として新製品を世に送り出す訳ですが、動画まで含めたフルメディア対応は今後のAシリーズ製品すべての受け継がれていくのですか? また、Advanced(先進的)を製品名に冠するモデルとして、注目している技術やトピックはありますか
木野内氏: Aシリーズについては、フルメディア対応は今後の製品にも継続していくつもりです。技術やトピックについては、ZuneのようにWi-Fiを搭載するというのもひとつのアプローチだとは思いますが、現時点ではWi-Fiよりも動画の方がユーザーニーズが高いと考えています。
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