「映り込み抑制」を進めるプラズマテレビ:コラム(2/2 ページ)
薄型テレビの購入を検討するユーザーがプラズマと液晶を見比べた際、プラズマに不利な要素として「照明の映り込み」がある。しかし、各社は対策を進めており、今夏はその抑制がちょっとしたトレンドになりそうだ。
パイオニアとはまた異なる手法で映り込み抑制に取り組んでいるのが、日立製作所とパナソニックだ。
日立製作所は“Wooo”01シリーズで「ファインブラックフィルター」を、パナソニックはPZ700シリーズで「低反射クリアパネル」を導入することで映り込みに対処しているが、基本的な構造は両社とも同一。表面保護材であるガラスとプラズマパネルの間に特殊なフィルターを挟み込み、そのフィルターで外光を吸収することで映り込みを抑えている。
両製品とも既存モデルより大幅に映り込みの低減が見られ、特に斜め前方(天井方向)に位置する蛍光灯の映り込みについてはかなり改善されている。ただ、室内だけでも照明(光)があるのは斜め前方だけではないほか、窓から差し込む太陽光など、さまざまな方向から多種多様な光が表面に差し込むことになるが、両社の仕組みが最大限に効力を発揮するのは「斜め前方からの蛍光灯の光」であり、両社とも「室内に設置された蛍光灯の明かりが視聴の妨げにならないことを狙った」と狙いを説明している。
両社ともフィルターの素材や、具体的な外光吸収の条件などの詳細は非公開としているが、方式としては同一であり、その効果も似通ったものといえそう。また、パイオニアとは異なり、画質への影響は(プラス面もマイナス面も)ほぼない。ただ、既存モデルには存在していなかったフィルターを追加したことによる明るさの低下を補正するため、開口率を上げるなどの措置が取られている。
この方式のメリットは導入に際しての部材コストが低いことと、加工の手間が少ないことだ。新部材の追加なので多少のトータルコスト増はあるものの、フィルターのコスト自体は「あまり大きなものではない」(パナソニック)ほか、単純にガラスとプラズマパネルの間にフィルターを挟み込むだけなので、プラズマパネルを保護材を一体化するパイオニアの方式に比べるとサイズバリエーションの拡大も容易に行える。
日立/パナソニックの両社もこの2つのメリットを活用していく考えのようで、「まずは売れ筋モデルに搭載して市場の反応を見ながら」と前置きしながらも、映り込み抑制機能フィルター搭載モデルの展開を進めていきたい考えだ。
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