シャープが“次世代液晶テレビ”を公開
シャープは8月22日、「画質」「薄さ」「環境性能」で既存製品を大幅に上回る液晶テレビの試作機を公開した。2010年に予定されている堺工場の稼働に合わせて量産を開始する方針だ。
シャープは8月22日、“次世代テレビ”として「画質」「薄さ」「環境性能」で既存製品を大幅に上回る液晶テレビの試作機を公開した。
試作機は52V型のフルハイビジョン解像度で、暗所コントラストは100000:1。リビングコントラストでも5000:1と「従来製品の暗室レベル」になっている。視野角も大幅に改善され、斜め45度から見ても5000:1のコントラスト比を確保したという。色再現性はNTSC比で150%、正面輝度は500カンデラ。液晶テレビのネックとされる動画表示性能は、MPRT(Moving Picture Response Time:液晶パネルの応答速度を人の目に近い形で数値化した指標)で4ミリ秒だ。また140kWh/年という年間消費電力も既存のテレビを大幅に上回る。
なによりインパクトがあるのは、本体の厚さと軽さだろう。厚さはディスプレイ部で20ミリ、最も厚い部分でも29ミリで、重量は52V型としては破格の25キログラム。同社では薄型軽量を生かして「壁掛け」「ポップアップ」「坪庭」など、さまざまなスタイルを持つ「未来のテレビ」を披露した。
同社の片山社長は、有機ELやSEDなどが“次世代テレビ”として注目を集めていることに触れ、「果たしてSEDは今のテレビに置き換わるのか?」と疑問を投げかける。「液晶はコントラスト性能や色再現性などで他方式を凌駕するものになっている。この試作機は、高精細化、低消費電力などの多くの技術の詰め合わせだ」。
シャープでは、新しい液晶テレビを大阪府堺市の新工場で生産する方針だ。発売時期などは明確に語られることがなかったが、2010年に予定されている新工場の稼働に合わせて量産に入ることを示唆した。「新工場は21世紀型のコンビナート。大型液晶テレビ工場を中心に、部材や装置まで多くの工場を誘致する垂直統合型の工場になる。これに何とか間に合わせていきたい」(片山氏)。
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