れこめんどDVD:「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」(Blu-ray Disc):DVDレビュー(3/3 ページ)
空前の“海賊”ブームを巻き起こした「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの最終章がいよいよBlu-ray Discで登場。今年最高のクオリティと評価の高い前作、前々作を超える仕上がりだ。
開始から32分、ジャック・スパロウ満を持しての登場
CH-6にしてようやくジャック・スパロウが登場。時間にして32分が経過したころだ。それまでジャックの出番を待ちわびた観客を歓迎するかのようにジャックが大挙して登場。何が起きても不思議でないワールド・エンドらしい展開だ。ジョニー・デップのファンなら珍作スリラー「シークレット・ウィンドウ」を思い起こすのではないか。砂漠なのか、塩田なのかは不明だが、露出オーバー気味の映像の中、何十人ものジャックが一画面に現われるのは実にユニークなショットだ。他のVFXではカニが集まり、陸にあるブラックパール号を運ぶところが強烈。カニの数がHD画質ではしっかり確認でき、思わず静止画にして数えたくなってしまった。
CH-7から8でジャックはワールド・エンドにやってきたエリザベス、ウィル、バルボッサらと再会。ブラックパール号でワールド・エンドからの脱出を図ることになる。
CH-10で水を補給しようと立ち寄った島で、ジャックたちは死骸となったクラーケンを発見。第2作では全体像を見せなかったクラーケンだが、改めてその大きさに驚かされる。死んだクラーケンの目には、死骸を覗き込むジャックの顔がはっきり見える。ジャックはクラーケンを倒したベケットたちの力に驚く表情をしているが、DVD版ではかなりあいまいな表現になっており、次のカットまでジャックの心理状態が読めない。
クライマックスの大渦巻きのシーンは圧巻
この後、いくつかの裏切りや画策があり、海賊長たちによる評議会が行われることになる。CH-13でエリザベスがウィルの父ビル・ターナーに出会う場面や、CH-15の難破船が入り江へ入る様子、CH-16からの評議会のシーンなどいずれも映像自体は暗めのナイトシーンだが、うまく脚本ができており、飽きることなくクライマックスに突入できる。大渦巻きの中、展開されるクライマックスは映像的に見ても非常にスケールの大きなもので、AVファン的には画質音質ともに再生しがいのある場面となっている。
さりげないシーンに意外な伏線が隠されていたりするので、繰り返し見る価値も充分。劇場で配布された「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 『もう一度見たくなる』読本」が封入されていたら、その辺はもっと理解しやすかっただろう。
個人的には第1作で牢屋に捕らえられたジャックが「鍵をよこせ」と語りかける犬が、第2作のエンドロールで人喰い人種の神に祭り上げられ、この第3作ではジャックの父親の愛犬になっているというつながりが非常に面白かった。
特典は先に述べたようにHD画質で別ディスクに収録。基本的にはDVD版と同内容だが、HDで見ることにより、臨場感も数段良くなっている。BD版のみの特典映像は「海賊たちの嵐の決闘」だが、肝心のジェリー・ブラッカイマーの解説に字幕が付いていないのが残念。対訳が別紙になって付属しているので、何を語っているかは容易に確認できる。
視覚効果スーパーバイザーもお墨付きのクオリティ
何はともあれ、これでようやくシリーズ3作品をすべてBlu-ray Discで所有できるようになった。オールナイトで続けてみれば、軽く一晩は過ごすことができるが、吹替えで家族そろって楽しむのもいいだろう。
実はこのBD版の発売前に視覚効果を担当したジョン・ノール氏が来日し、報道陣に視覚効果の裏側をレクチャーする機会があったのだが、その際、自分たちが作っている映像がフィルム上映ではぼやけてしまい、不満に思っていることを打ち明けていた。BD版のクオリティにはノール氏も満足しており、VFXもしっかり見てもらえると語っていたのが印象的だった。作り手の狙いがそのままのクオリティで届けられるBD版「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」、是非、ご自身のシステムで試してもらいたい。
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