2008年に期待される新技術:本田雅一のTV Style(2/2 ページ)
今年も残すところ、あと3日。そこで今回は、2008年にわれわれが購入できる新しいテレビに投入されるだろう、新しい技術トレンドについて簡単に紹介し、今年のコラムを締めくくりたい。
もっとドラスティックな変化は?
いやいや、もっとドラスティックな進化はないのか?と、思っている読者もいるかもしれない。SEDはその後、どうなるんだろうか?とか、有機ELの大型化は進むのか? といったことに興味を持つ読者も少なくないだろう。
SEDに関しては特許関連の問題解決がなければ先が見えないが、さすがにこの段階になって厳しくなっていることは間違いない(→関連記事)。方式としての優位性が消えるわけではないため、どこかで実用化される可能性はゼロではないが、そのためにはSEDの開発を行う絵で重要な鍵となるガラスメーカーなど部材を提供するパートナーとの関係維持も重要だ。
長い間、事業の伸展がストップしてしまうとパートナー企業も待ってはいられない。それでも再始動できるだけのパワーを、キヤノンが絞り出せるかどうかが、特許問題が解決した後の課題になる。
有機ELに関しては、多くの人が期待するように大型化へと進むだろう。
ただし、それは37インチ、42インチといったサイズではない。今年の1月にソニーが展示した27インチに関しても、実際には相当難しいと考えられる。というのも、関係者への取材をしていると、有機ELの大型化で壁になっているのは“歩留まり”ではないからだ。
有機ELは大型化するとインピーダンスが大幅に上がってしまい、ドライブするために必要な電力が大きくなりすぎるのだという。ドライバ回路を作るのも大変だが、電源部の手当も大変。また消費電力も液晶テレビより不利になるとか。
ソニーの有機ELテレビが、驚くような立体感のある映像を見せていることを考えれば、これが大型化すれば……という期待は誰でも持つのだが、当面の目標は20インチ程度ではないだろうか。
もちろん、期待を裏切って「大型化は無理だと言ってたじゃないか!」と怒られるような製品が出てくる可能性はゼロではない。技術的なブレークスルーは、ある日突然、われわれの目の前に現れるものだからだ。
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