CESプレスデーにおける「テレビのトレンド」:2008 International CES:本田雅一のリアルタイム・アナリシス(2/2 ページ)
今年のCESプレスデーでは、昨年ほどのテレビに関する新トレンドが見られない。ただ、各社が同じ方向を目指しているのは間違いない。それは「デザイン」と「ユーセージ」で薄型テレビの可能性を広げようとしていることだ。
黒が完全に無発光の画素で表現可能になることで、見た目のコントラストが圧倒的に高まることは言うまでもない。コントラストが高まる分、高い階調性を実現する技術も同時に導入されなければ、階調表現の荒っぽさが目立ってしまうが、「種火ゼロ」の実現は、プラズマ方式としてはにわかに信じがたいほど強いインパクトがある。翌日からのブース展示にて公開されるというから、実際に映像を見た後に関係者の話を聞きながら詳細を別途リポートすることにしよう。
一方、既存製品のアップデートが多かった今年のソニーだが、参考展示ながらフルHDの4倍の画素数を持つ4K液晶テレビがブースに展示される。さらなる高精細をという方向で、よりよい画質の提案を行おうというのはおもしろい(関連記事:“飛ばさない”高速無線技術、ソニーが開発)。
4Kの効果を実感するには、少なくとも50インチ以上の画面サイズが必要と考えられ、果たしてコンシューマがどこまでの高精細を求めるか?ソースはどうするのか?といったテーマは残るものの、単にデザインとユーセージだけで現世代向けの製品を提案するだけに留まっていない。
このほか、松下電器も翌日の坂本俊弘氏・松下電器AVC社社長が行う基調講演にて、3つの新しいディスプレイ技術を発表する予定だ。日立もプラズマのコントラスト比を高める新技術を開発しているとの情報もある。
今年、各社の主なメッセージが、高画質化から「デザイン」「ユーセージ」に変化してきたことは確かではあるが、かといって高画質化の歩みを止めているわけではなく、むしろ薄型テレビ景気の熱を冷まさないために、より幅広いアイデアでテレビの改善に取り組み始めたと見るのが正解かもしれない。
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