「Bluetooth」――携帯からゲーム機まで、広がる活用範囲:デジモノ家電を読み解くキーワード
「青歯王」デンマーク王ハーラル1世にちなみ命名された「Bluetooth」が、ここ数年急速に普及している。今回はそのBluetoothについて、現在の状況をかんたんにまとめてみよう。
「プロファイル」がポイント
Bluetooth(IEEE 802.15.1)は、2.4GHz帯を使用する無線通信プロトコル。通信可能距離は半径10〜100メートルで、赤外線に比べると遮へい物に強いことが特徴だ。
このBluetooth、用途や機器の種別ごとに通信規格を策定しており、「プロファイル」と呼び標準化されている。マウスやキーボードならば「HID」(Human Interface Device Profile)、ヘッドセットは「HSP」(Headset Profile)、音楽のストリーミングには「A2DP」(Advanced Audio Distribution Profile)などなど。一口にBluetooth対応機器といっても、目的のプロファイルに対応していなければ、その機能を利用できないことになる。
ゲームコントローラーにも
Bluetooth規格の第1版(Bluetooth 1.0)が登場したのは、1999年のこと。しかし、積極的に取り組む国内メーカーが少なかったこともあり、日本ではどちらかというとマイナーな規格に甘んじていた感はあるが、ここ2〜3年で状況は大きく変わった。
ひとつは、ポータブルオーディオの普及に伴い、音響機器関連での需要が高まったこと。遮へい物に強く転送速度に優れるBluetoothならば、ヘッドフォンやスピーカーにも十分使える。もうひとつは、Bluetooth対応携帯電話の増加。NTTドコモやauは一部の機種しかサポートしていないが、イー・モバイルやウィルコムなどBluetoothを積極的に活用しているキャリアもある。
すそ野を広げたのはゲームコントローラーでの採用だ。有名どころではプレイステーション3の「ワイヤレスコントローラー」とWiiの「Wiiリモコン」、特に後者はワイヤレスの特性を生かし、振り回すという従来にない情報の入力を可能にしている。
Bluetooth(A2DP)で音楽を聴くときにはわずかなタイムラグは避けられないが、遅延情報を使い補正するなどの処理により、厳しいリアルタイム性能を求められるゲームでも支障なく使えるようになった。ゲーム機の分野では、これからもBluetoothが活用されることだろう。
まだまだ進軍するBluetooth
登場から10年近くが経過したBluetoothだが、現在の主流はバージョン1.1と1.2。高速化機能「EDR」(Enhanced Data Rate)をサポートした「Bluetooth 2.x +EDR」では、最大3Mbpsという高速な通信が可能になり、しかも消費電力の軽減を期待できる。さらに次世代規格では、超広帯域無線(Ultra Wide Band)を取り込むことにより、さらなる高速化が進められる予定だ。Bluetoothは、まだまだ普及していきそうだ。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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