2極化が進むCATV用STB:ケーブルテレビ ショー 2008
ケーブルテレビに関する総合展示会「ケーブルテレビ ショー 2008」が開幕。CATV視聴に欠かせないSTBには、“2極化”とも呼べる現象が目につく。
ケーブルテレビに関する総合展示会「ケーブルテレビ ショー 2008」が開幕した。昨年から週末にかけての開催となり、放送事業者やコンテンツサプライヤーのみならず、一般視聴者までも対象と広げ、“生活者密着型メディア”としての存在感をアピールしている。
昨年はハイビジョン体験シアターやHDD内蔵/増設対応デジタルSTBなど、ハイビジョンコンテンツの視聴や録画に関する展示が目を引いたが、今回はSTBの“2極化”とも呼べる現象が目につく。
アナログ停波を2011年に控え、デジタル対応が急がれているのはCATV業界も同じ。既存アナログSTBと同様の容易な操作性を備えつつ、スペックを最低限にするなどの手法で価格を抑えた、デジタル対応のシンプルなSTBを各社が大きなスペースを割いて展示している。
パイオニアはデジタル対応の新型STB「BD-V171」を今夏発売するほか、伊藤忠ケーブルシステムもHUMAX製の「JC-3100」を来年1月に出荷開始する予定。マスプロ電工も「DST62」(出荷済み)をブースの目立つ位置に展示している。いずれも機能を絞り、アナログSTBの置き換えを狙う製品だ。
デジタル対応を果たしたシンプルタイプを各社が多く展示するなか、さらに高機能化を進めたSTBを展示していたのがパイオニア。STBにホームネットワーク機能を搭載して市販のLAN接続HDDに番組を録画、そのHDDからネットワーク経由で家庭内へ映像を配信するという参考展示を行っていた。
「あくまでも参考展示ベース」(同社)であり、実際にDLNAベースのホームネットワーク機能を実装するかは未定。東芝「REGZA」のLAN HDD機能のように、市販品を利用しながらも独自規格の機能として実装する方が製品化のペースは速められるというが、DLNA準拠にすれば接続可能機器などの面から見ても汎用性は高い。しかし、DLNA準拠では動作検証に時間がかかるというデメリットも発生するため、同社も「DLNA準拠で(開発を)進めると思うが、詳細はこれからも検討する」とあくまで慎重な姿勢を見せている。
HDD内蔵の「TZ-DCH3800」など高機能なSTBを既に多く販売しているパナソニックもホームサーバー機能については「検討の段階」と慎重な姿勢。HDD内蔵型を含めた高機能型STB全般については、「CATV事業者からのリクエストはあるが、全体としてはシンプルなSTBの方が引き合いが多い状況」という。
ケーブルテレビショー 2008は東京ビッグサイトにて6月21日まで開催。入場は無料。
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