第7回:独特のレイアウトから確かなサラウンド、NIRO「NS-600」:サラウンドで北京五輪を堪能する(2/2 ページ)
“NIRO”「NS-600」は、ユニークなレイアウトを持つコンパクトサイズのフロントサラウンドシステム。今回取り上げた機種のなかでは唯一HDMI端子を持たないが、部屋のどこにいてもサラウンドが楽しめる独自システムを採用している。
ユーザビリティーチェック
操作性に関しては、HDMI非搭載の不利さがどうしてもつきまとう。音量調整や入力切替などは専用のリモコンで行わなければならず、電源オフも同様。HDMIコントロールの便利さを知ってしまった身には、少々もどかしく感じる。けれども1世代前までこれが当たり前だったことを考えると、おっくうに感じる僕こそ怠惰なのかもしれない。
逆にセッティングを積極的に変更したい人には、リモコンの操作性も含めてなかなか上々なシステム。センター、サラウンドスピーカーのボリュームを調整するダイレクトボタンが用意されているので、映画のセリフを聞こえやすくしたり、サラウンド感を強調するのもいたって簡単。またDVDプレーヤーやテレビなど、複数の機器が登録できるうえ、かなり細かい操作までフォローしているので、普段はこちらのリモコンだけで事足りるはずだ。
サウンドチェック
ウリである「どこでもサラウンド」は宣伝文句の通りなかなか良好。前後、左右に大きく視聴位置をずらしてみたが、サラウンドの定位が揺らいだり狂ったりすることはほとんどなかった。このスウィートスポットの広さは、何ものにも代え難い魅力だ。しかもただポンと置いただけでこれが実現できるのだ。
リアスピーカーのサラウンド感も、バーチャルとしてはかなり上出来な部類に入る。奥行き感はなく定位感も曖昧になりがちだが、確かに斜め後方から音が聞こえてくる。
サウンドクオリティーも、結構なレベルを保っていた。とくに中〜高域にかけての解像度が良好で、センシティブかつ丁寧なサウンドを聴かせてくれる。ピアノの演奏などは、高域強調タイプながら実在感のあるサウンドを楽しませてくれた。
ただし、人の声はというと、メインスピーカーの採用ユニットが小口径のためか、中域の厚みやフォーカス感が弱く、声が低い男性俳優のセリフなどは少々聞き取りにくくなってしまう傾向がある。メインスピーカーのボリュームを上げてもあまり改善はしなかったので、このあたりは「小サイズゆえの限界」として割り切るしかないだろう。
もう1つの弱点、HDMI端子がないことに関しては、(HDMIコントロール以外は)それほどデメリットは感じさせなかった。確かにBDソフトは、HDオーディオやリニアPCMマルチチャンネルなどの音声を楽しむことができない。けれどもドルビーデジタルやDTSはもちろん、AACにも対応しているので、今回の五輪企画のように「テレビ放送をサラウンドで楽しもう」という用途には、しっかり応えてくれる。
お勧めしたいユーザー
リビングのテレビをサラウンド化したいと考えている人や、家族や友人など大勢で楽しみたいという人にお勧めしたい1台。なかでもサラウンド感を重要視したい人には、魅力的なモデルと映るはずだ。
コンパクトなサイズやユニークな設置方法から、本人だけでなく家族からも高い評判が得られるかも。音質的な上質さも含め、後悔のない選択となるはずだ。
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