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ビートルズの偉大さに気づかされる作品――「アクロス・ザ・ユニバース」本山由樹子の新作劇場

ビートルズの名曲でつづる青春ミュージカル。ミュージカルというよりはロック・オペラに近く、ラストは自然と涙が流れる、天才演出家の1本。

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アクロス・ザ・ユニバース(Blu-ray Disc)

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 時代を超えて万人に愛され続けているビートルズの珠玉の名曲がそろったミュージカル映画「アクロス・ザ・ユニバース」が12月19日にBlu-ray Disc化。

 特典はジュリー・テイモア監督とエリオット・ゴールデンサール(音楽)によるオーディオ・コメンタリー、「宇宙の想像」「期待の新星」「音楽のすべて」「宇宙の彼方でダンス」「映画を彩る特殊効果」などのメイキング・ドキュメンタリー集、8種類のミュージック・シーンロング・バージョン、未公開シーン:“アンド・アイ・ラヴ・ハー”、カイト氏のアドリブシーン2種、フォト・ギャラリーなどを収録している。

 主人公の青年ジュードが、海岸で「Girl」を歌う。観客に語りかけ、回想形式で物語は幕を開ける。リバプールの造船所で働き、金を手にしたジュードは、父を探しに自由の象徴というべきニューヨークにやって来る。彼は、自由奔放な大学生のマックスに出会い、その妹のルーシーに恋をする。「If I Feel」「Something」にのせて愛を語り合う。

 しかし、2人の甘い生活は長くは続かなかった。時代はベトナム戦争の真っただ中。マックスはベトナム戦争に駆り立てられ、ジュードはルーシーとの恋に破れて、ひとりリバプールへ戻る。そんなジュードに「Hey Jude」と歌いかけるルーシー。時代の波に翻弄(ほんろう)される彼らの運命はどうなるのだろうか?

 使用されている音楽はすべてビートルズの楽曲で、その数は33曲。ビートルズの楽曲を歌って、踊るだけではない。2001年のバズ・ラーマン監督作「ムーラン・ルージュ」のように、ストーリーにあったビートルズの楽曲を厳選。美しい詞やメロディがストーリーに生かされ、ビートルズの世界観とマッチしている。

 監督は、これが初の映像作品となる舞台出身のジュリー・テイモア。代表作には「ライオン・キング」がある。主演は「ラスベガスをぶっつぶせ」のジム・スタージェスと「ダウン・イン・ザ・バレー」のエヴァン・レイチェル・ウッド。彼らは吹き替えなしで見事な歌声を披露している。またU2のボノが出演しているのもファンにとっては嬉しいところ。

 基本はボーイ・ミーツ・ガールの青春モノだが、そこにベトナム戦争が絡む。反戦をうたう彼らの姿はジョン・レノンの思想と重なる。ビートルズの詞の世界を字幕で再認識し、改めてその偉大さを実感できる。ラストは自然と涙がこぼれてくる秀作だ。

関連サイト:http://across-the-universe.jp/(公式サイト)

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