1997年の犯罪サスペンスの傑作――「L.A.コンフィデンシャル」:本山由樹子の新作劇場
ラッセル・クロウらスターを輩出、アカデミー賞2部門に輝く名作がBlu-ray Discで登場。メイキングなど新たに制作された特典も満載。
L.A.コンフィデンシャル ブルーレイ・エディション(Blu-ray Disc)
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1997年製作、日本では98年に公開されたクライム・サスペンス「L.A.コンフィデンシャル」が、2009年1月29日に2枚組のブルーレイ・エディションとしてBlu-ray Disc化。
本編ディスクの特典はオーディオ・コメンタリーとアメリカ版劇場予告、TVスポット集、特典ディスクは約176分。主要キャストのカメラテストなどの秘蔵映像を交えたスタッフ・キャストの作品解説「撮影秘話」、1950年代当時の写真を用いて製作背景に迫る「写真で見るL.A.コンフィデンシャルの世界」、ロケ地にまつわるエピソードを紹介した「“L.A.”コンフィデンシャル ロケーションマップ」などを収録。
さらに、「メイキング・オブ・L.A.コンフィデンシャル」「スクリーンに蘇る1950年代L.A.の風景」「映画を彩る豪華キャストたち」「エルロイ文学・映像化への挑戦」「TV版『L.A.コンフィデンシャル』(2000年)」など新たに制作された特典も収録している。
舞台は50年代、マフィアが暗躍するロサンゼルス。街のカフェで元刑事を含む6人の男女が惨殺され、ロス市警は捜査を開始。事件の裏には、白ユリの館というハリウッドの有名女優に似せた高級娼婦たちを擁する秘密売春組織の存在が浮かんだ。熱血漢のバド刑事(ラッセル・クロウ)は、高級娼婦リン(キム・ベイシンガー)に接近するが、いつしか彼女と恋に落ちてしまう。一方、野心家のエリート刑事、エド(ガイ・ピアース)は、己の信念で捜査を続けるバドと対立。
そこで、エドは「LAコンフィデンシャル」というタブロイド誌の記者(ダニー・デビート)と結託して羽振りを利かせ、狡猾なジャック刑事(ケビン・スペイシー)に協力を要請する。容疑者射殺で、事件は早く解決したかに見えたが、その裏には底知れぬ陰謀が渦巻いていた。
自らを“アメリカ文学の狂犬”と称する作家、ジェイムズ・エルロイの代表作である“L.A.4部作”の1つを映画化したもの。ちなみに“L.A.4部作”の他の3作品は、「ブラック・ダリア」「ビッグ・ノーウェア」「ホワイト・ジャズ」。
「ラッキー・ユー」「イン・ハー・シューズ」のカーティス・ハンソンが監督のみならず、製作・脚本も担当。第70回アカデミー賞では9部門にノミネートされ、「タイタニック」にアカデミー賞の票を奪われてしまったが、脚色賞と助演女優賞(キム・ベイシンガー)の2部門を受賞した。
同じロス市警に所属しながらタイプの異なる3人の刑事が、事件を追ううちに、腐敗を目の当たりにしていく展開。ブレイク前夜のラッセル・クロウが、犯人を追い詰めるためなら暴力をもいとわない熱血刑事を、男の色気たっぷりに演じている。ケビン・スペイシー、ガイ・ピアースも一癖も二癖もある刑事を厚みのある芝居で熱演。紅一点のキム・ベイシンガーには、はかなげなファムファタールが良く似合う。スリリングな語り口と深い人間ドラマで、今見てもその面白さは色褪せていない一級品だ。
関連サイト:http://www.tfc-dvd.net/dvd/form.html?p_id=TBBD%20002(公式サイト)
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