ソニー、ストリンガーCEOが掲げた“7つの条件”:2009 International CES(2/2 ページ)
CES開幕初日の基調講演を担当したのは、2006年以来2年ぶりとなるソニーのハワード・ストリンガーCEO。世界的な大不況により市場は混乱しているが、そんな中でもポジティブに前へと進んでいくことの大切さを訴えた。
CES Seven
- 家電、IT、エンターテイメントなど業種の壁を越えて融合したサービス・製品であること
- 製品設計時からネットワークを通じたサービスをもとにした製品開発を行うこと
- データの種類やフォーマットに依存せず、あらゆるコンテンツを扱えるよう設計すること
- オープン技術をサポートし、独自の実装による互換性のない自己完結システムは作らないこと
- インターネットを通じたコミュニティを活用しエンターテイメントの場を共有できる製品を開発すること
- 新しいバリューチェーン(エコシステム)の創造
- 環境に優しいグリーン製品化に配慮した製品とすること
いずれも、決して新しい発想・提案とは思わないが、誰もが必要であることを認識しながら、徹底しては実施できていないものが多い。ソニー自身も、CES Sevenを意識した社内改革は進んでいると感じているのだろうが、自己評価ではなく、外部からソニーは変化したといわれるようになる必要がある。
基調講演の中で紹介した製品や技術は、なるほど将来を期待させるものもあった。超小型の「VAIO type P」は、日本で製造するPCのあり方を問う製品といっていい力作だ。曲がる有機EL「Flex OLED」もアプリケーションの幅を広げるに違いない。40%の消費電力削減をうたうエコ機能対応の「BRAVIA VE5シリーズ」やバイオ電池。それにメガネのレンズに映像をオーバーレイするメガネ型ディスプレイ、3D映像技術など、さすがに基調講演の材料はそろえてきた。
しかし、確かに楽しさは演出されているのだが、個人的にはひと味の足りなさを感じざる。それは夢想と夢想を現実のものにするモチベーションを持ち続けることの大切さを訴えながら、ソニー自身が夢のような製品にチャレンジしようとしている姿勢を、具体例として示せなかったからだ。
「こんなとんでもない製品、よく試作しようと思ったものだ」とあきれるようなものを持ち込み、夢を与えることも必要だったのではないか。今回の基調講演は実際の製品、あるいは製品に近い技術が目立った。例えばAV機器メーカーとして有機EL(OLED)に命をかけているのなら、1枚でもいいから30インチを大きく超えるようなOLEDを展示し、未来を創造するのはソニーなのであると力を見せてほしかった。
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