「機動戦士ガンダム」の放送開始30周年を記念して、東京・お台場の「潮風公園」に建設されている実物大ガンダム立像(→全高18メートルの等身大ガンダム、お台場に立つ)。その建設作業は順調に進み、Bパーツ(下半身)が完成間近といった状態のようだ。GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト実行委員会は19日、報道関係者向けに工事現場を公開し、進捗状況を報告した。
実物大ガンダムは、「機動戦士ガンダム」――いわゆるファーストガンダムに登場する「RX-78-2 ガンダム」を忠実に再現している。一年戦争中、サイド7で焼却処理されたパーツとは別に連邦軍の拠点で人知れず組み上げられ、ロールアウトした直後という設定だ。このため機体に破損や汚れなどはまったくない状態で、ビームサーベル以外の武装も持たない。「通常はコックピットの周辺にパイロットの名前を入れるものだが、まだそれすら入っていない」(サンライズ、制作部第4Bスタジオの堀口滋プロデューサー)。
現在、ガンダム立像は下半身の鉄骨フレームにFRP(強化プラスチック)製の外装を組み付ける作業をしている段階で、2本の脚だけが立っている。それでも高さは約11メートルあり、間近で見上げるとかなりの迫力だ。また、並行して上半身の地組み作業も行われており、ハンガーのような足場につるされた両腕をはじめ、腰部や胸部のパーツが各所に置かれていた。2階建ての工事詰め所からふかんすると、まるで制作途中のプラモデルのようにも見えるのだが、各パーツの近くを人が通るたびに桁外れのサイズを実感する。
一方、足元の台座は基礎となるコンクリート部分が出来上がっていた。一般公開時には台座の前後に階段が設けられ、ガンダムの足元まで行けるようになる。なお、ガンダム立像の基礎部分は、意外にも“くい”などを用いない“置き基礎”構造になっているが、これはお台場の地盤が柔らかく、地下40メートルの岩盤にまでくいが到達しなければ意味がないため。「原状復帰も考慮すると(地面の)上で完結する構造にしなければならなかった。もちろん建築基準法の構造規定をクリアしているし、雨風の影響もまったく問題ない」(乃村工藝社、CC事業本部クリエイティブ統括部の河原正毅氏)。
外装は、肉厚のFRPに超高層ビルなどにも用いられるウレタン塗装を施し、その上にフッ素樹脂を用いたクリア塗装を吹き付けている。制作を担当する乃村工藝社によると、「実際の作業を行う前に航空機や新幹線といった同じような量感を持つものを見学してツヤの出し方などを学んだ」という。
胸部のパーツを見ると、ルーバーの奥にミスト噴射用のノズルがいくつも設置されていることが分かる。この奥に照明ギミックを設け、完成時には連動させる予定。ガンダムが放熱する様子がリアリティーたっぷりに再現される。
今後は、足首や腕に外装を装着し、スカート部、胴、左右の腕など、完成したパーツを順次載せていく予定。6月前半には頭部が組み付けられ、完成形に近い姿を見せてくれるはずだ。7月11日からの一般公開では、頭部が上下左右に稼働し、両眼、両肩の警告ライトなど約50カ所が発光するほか、両胸のルーバーや足首、背中のバーニアなど14カ所からミストが噴射するようになる。
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