なんだか無性に懐かしい「大人の科学マガジン Vol.26 ミニエレキ」:橘十徳の「いいトシして玩具三昧」第33回(2/2 ページ)
今回紹介するのは学研の「大人の科学マガジン Vol.26 ミニエレキ」。付録のエレキギターのキットはプラスチック製で弦が4本のミニサイズながらも、スピーカーを内蔵しており手軽に演奏を楽しめる。
ピックアップのコイルを巻くのが少し面倒
組み立ては、まずチューニングユニットやペグ、ネックなどを取り付けて弦を張る。ふつうのギターと違ってこのミニエレキはペグがボディ側にあり、弦はネックの先端部分に巻き付けるようにして折り返し、裏側に回してネジで固定する。ちなみにふつうのギターよりも全長はかなり短いが、弦は市販のエレキギター用のものがそのまま使えるので入手には困らない。
弦を張ったら、次は電気部の組み立てだ。基盤にボリュームダイヤルを取り付けてから、ボディカバーに基盤とスピーカーを固定する。そしていよいよピックアップの組み立てに入る。ピックアップの上板と下板を合体させてギターのボディにネジで仮止めしてから、コイルを巻いていく。「ミニエレキ」の場合は銅線の太さは0.3ミリで、巻く回数は約180回。このコイルを使って、電磁誘導の原理で弦の振動を拾うわけだ。180回も巻くとなるとけっこう面倒だが、音や見栄えを左右するポイントだけに、しっかり巻いておきたい。
コイルを巻き終わったらリード線とまとめて、さらにピックアップの上板に磁石を入れてシールをはり、本体に取り付ける。あとはアース線をつなげてボディとボディカバー、ネックカバー、ストラップリングなどを取り付ければ完成だ。説明書によると組み立て時間は約1時間とあるが、同じくらいの時間で終わった。コイルを巻くのが手間なので、作り終えるとけっこう充実感を味わえる。
エレキギターらしい適度にひずんだ音
完成させたら、さっそく電池を入れてボリュームダイヤルをオンにしてみよう。電源ランプが点灯するので、この状態で弦を弾けば音がなる。あとはチューニングをしたり、弦と弦との距離やピックアップの位置を変えて音を調節したりすればOKだ。厳密な音合わせにはチューナーが必要だが、説明書には電話の受話器を取ったときの「ツー」という音が「ソ」で、これを利用したチューニング方法を説明しているので、専用器具がなくてもチューニングは可能だ。
実際に弾いてみると、「ジャジャーン」といかにもエレキギターらしい適度にひずんだいい音が出てくる。「ミニエレキ」用のコード一覧が雑誌に載っているので、これを参考にしながらいくつかコードをならしてみたが、適当にかき鳴らすだけでも十分に楽しい。初めてギターを手にしたときの感動がよみがえってきて、なんだか無性に懐かしくなる。
構造上、仕方のないことかもしれないが、弦を取り替えるときはネジをいくつも外さなければならず、この点は少し面倒だ。そのほかはとくに不満はない。デザインも秀逸だし、音もなかなか味わい深い。大人がオモチャとして遊ぶのにもいいが、子どもへのプレゼントにも喜ばれると思う。ピックアップの構造などにも詳しくなれるこのキットを使って、ギターの楽しさと奥深さをぜひ味わっていただきたい。
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