逆恨みって怖い――「スペル」:本山由樹子の新作劇場
「スパイダーマン」のサム・ライミ監督が本領発揮! ホラーコントのようなエンタメ作品が公開版とディレクターズカット版を収録したコレクターズ・エディションで登場!
スペル コレクターズ・エディション(Blu-ray Disc)
「スパイダーマン」シリーズの大ヒットでハリウッドでは怖いもの知らずになったサム・ライミ監督の新作ホラー「スペル」が4月23日にBlu-ray Disc化。本編は劇場公開版(99分)とディレクターズカット版(99分)をダブル収録。特典はメイキング映像集、サム・ライミ監督と出演者のアリソン・ローマン、ジャスティン・ロングのインタビュー、予告編集、海外予告編など約70分に及ぶ。
銀行のローンデスクで働くクリスティン(アリソン・ローマン)の前に、みすぼらしい老婆(ローナ・レイヴァー)が現れる。普段は穏やかで優しいクリスティンだが、上司に仕事ができることをアピールして昇進したいと、老婆の3度目の不動産ローン延長願いを断ってしまう。不快感をむき出しにする老婆だったが、警護員に取り押さえられ、銀行から追い出される。
その夜、仕事が終わって駐車場に向かったクリスティンを待っていたのは、あの老婆。つかみかかってくる老婆に必死に抵抗するクリスティンだが、最終的にコートの袖口のボタンを引きちぎられ、呪文をかけられてしまう。それ以来、クリスティンの周りには不可解なことが起き始める。
大学で心理学を教える恋人クレイ(ジャスティン・ロング)に相談しても、非科学的だと言って相手にしてくれない。仕事場でも幻覚に襲われ、クリスティンは老婆に謝ろうと彼女の家に訪ねるが、そこでは何と彼女の葬儀が行われていた。どうしていいか分からないクリスティンはオカルト・ショップを経営する呪文研究家ラム・ジャス(ディリーブ・ラオ)に会い、呪いをかけられてから3日以内に解かないと、悪魔に命を奪われ、地獄に落ちるということを知る。果たして彼女に生き延びる術はあるのか?
サム・ライミといえば、もともとはホラーコメディの名作「死霊のはらわた」を世に送り出した人物。これぞライミの本領発揮、というのが本作だ。ヒロインのちょっとした不親切さに比べ、老婆の呪いの容赦なさったら。その設定からして面白い。
恐怖と笑いは紙一重で、老婆の口から入れ歯が飛び出すわ、老婆の遺体がクリスティンにゲロをぶちまけるわ、B級ホラーファンは爆笑必至。特におススメなのが、クリスティンと老婆が車中でドツキ合う格闘シーンと、クリスティンがクレイ宅で彼の両親とディナーをするシーン。アナーキーで、まるでホラーコントのよう。
受難のヒロインを演じたアリソン・ローマン(「ホワイト・オランダー」)の熱演と、猛烈老婆役のローナ・レイヴァーのスゴさに感服!劇場で見逃した人はぜひBDで!
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