少女の悪魔的な本性が明らかに――「エスター」:本山由樹子の新作劇場
ある一家の養女に迎えられた孤児の美少女は、裏の顔を持っていた……。ホラー専門のダークキャッスルが放つ衝撃作。
エスター(Blu-ray Disc)
ロバート・ゼメキスとジョエル・シルバーが設立したダークキャッスル・エンタテインメント(「ゴーストシップ」「リーピング」「ゴシカ」)が放つサスペンス・ホラー「エスター」が3月10日にBlu-ray Disc化。特典は「ママの小さな悪魔たち」と「未公開シーン集〜もうひとつのエンディング」を収録している。
3番目の子供を死産したことで悪夢にうなされ続ける妻ケイト。彼女の心の傷を少しでも癒し、夫婦関係を修復しようと、夫ジョンは養子を迎えることに。訪れた地元の孤児院で、彼らはエスターという9歳の美少女を気に入り、温かく家に迎え入れる。しかし、それが悲劇の始まりだった。
礼儀正しいエスターはクラシックな服を好み、絵と音楽の才能に恵まれているが、どこか変わっていた。しばらくして、前の里親の不可解な死にエスターが関わっているかも、と忠告しにきたシスターをエスターは惨殺する。そして、彼女は本性をむき出しにしていく。実の息子や娘、そしてケイトはエスターの「おかしさ」にいち早く気がつくが、夫のジョンだけはアルコール依存症だった妻の妄想だと言って一向に取りあわない。果たして、一家は生き延びることができるのか?
監督は「蝋人形の館」のジャウム・コレット=セラ。製作にはレオナルド・ディカプリオが名を連ねている。妻ケイトに「縞模様のパジャマの少年」「マイレージ、マイライフ」のベラ・ファーミガ、鈍感な夫ジョンに「フライトプラン」「17歳の肖像」のピーター・サースガード。TVドラマ「ゴースト?天国からのささやき」でヤング・アーティスト賞にノミネートされた12歳の新鋭イザベル・ファーマンが、無気味な笑みを浮かべるエスターを怪演している。
サイコ・ホラーものに食傷気味でも、おそらく本作は楽しめるはず。よくある「オーメン」系のチャイルド・ホラーかと思って油断していたら、最大のウリであるどんでん返しには「この手があったのか」と本当にビックリ。心臓が止まる怖さというよりも、もの悲しさが心に残る。エスターの正体に気づかない夫の姿にイライラを募らせながら、エスターが一家をどん底に突き落とすお約束の展開と彼女の衝撃の正体を、とくとご覧あれ。ちなみに原題の「ORPHAN」は孤児の意味。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
関連記事
- 本山由樹子の新作劇場:心を持ったリアルダッチワイフの物語――「空気人形」
是枝裕和作品らしく、テーマはマジメ。でもエロシーンは妙に生々しく、主演ペ・ドゥナの体当たり演技にも感心。この話題作が3月26日にDVD化。 - 本山由樹子の新作劇場:エメリッヒの集大成――「2012」
ローランド“壊し屋”エメリッヒ監督の最後(?)のパニック大作が3月19日にBD+DVDセットで発売。 - 本山由樹子の新作劇場:超絶カー・スタントを連発――「ワイルド・スピードMAX」
ヴィン・ディーゼルら1作目の主要キャストが再結集したシリーズ4作目。100分越えの特典映像付きで2月17日にBD化。 - 本山由樹子の新作劇場:「時かけ」細田監督の最新作――「サマーウォーズ」
文科系男子のひと夏の冒険。アニメファンならずとも必見の話題作が特典ディスク付きの2枚組でBD化! - 本山由樹子の新作劇場:天才ファンドマネージャーの新たな挑戦――「ハゲタカ」
現在進行形の社会情勢を盛り込んだNHKの人気ドラマの劇場版。1月15日発売のBD版は未公開シーン集など特典も充実。 - 本山由樹子の新作劇場:そのオヤジ、凶暴につき――「96時間」
娘を人身売買組織に誘拐された。怒れるオヤジがパリに殴りこみ、格闘スキルを駆使して、悪党どもを血祭りにあげる。リーアム・ニーソン主演のおススメ暴走アクションが3月5日にBD化。 - 本山由樹子の新作劇場:人気アクションの続編――「アドレナリン2 ハイ・ボルテージ」
アドレナリン放出に続く今回の生存条件は充電。あっちでビリビリ、こっちでスリスリ。アクションも笑いもエロ度もアップしたシリーズ2作目が1月27日にBD化。 - 本山由樹子の新作劇場:マイケルは生き続ける――「マイケル・ジャクソンTHIS IS IT」
ドキュメンタリーながら、今年の洋画国内興行成績で「ハリー・ポッターと謎のプリンス」「レッドクリフ Part2」に続く3位にランクインするという大ヒット。この話題作が特典満載で1月27日にBD化。 - 本山由樹子の新作劇場:ともだちの正体は?――「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」
すべての謎が明かされる3部作の最終章が2月24日にBD化。「公開バージョン」と「もうひとつのエンディングバージョン」を収録。 - 本山由樹子の新作劇場:顔も心もボロボロ、元花形レスラーの生きる道――「レスラー」
真っ白に燃え尽きるまで戦い抜く男はカッコいい。映画賞54冠に輝いたミッキー・ロークの完全復活作が1月15日にBD化。 - 本山由樹子の新作劇場:シリーズ初のスピンオフ――「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」
スピンオフといえば駄作が多いけれど、これは本物!孤高のヒーロー、ウルヴァリンの過去が明かされ、マッチョ俳優によるアクションも重量級。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.