検索
連載

天才ファンドマネージャーの新たな挑戦――「ハゲタカ」本山由樹子の新作劇場

現在進行形の社会情勢を盛り込んだNHKの人気ドラマの劇場版。1月15日発売のBD版は未公開シーン集など特典も充実。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ハゲタカ(Blu-ray Disc)

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

 2007年2月から全6話が放映されたNHKのドラマ「ハゲタカ」は、イタリア放送教会が主催する国際番組コンクール「イタリア賞」などに輝き、話題を呼んだ。2009年6月に公開された映画版が1月15日にBlu-ray Disc化。

 特典は92分のボリュームで、本編ディスクには大森南朋・玉山鉄二・大友啓史監督・遠藤学プロデューサーによるオーディオ・コメンタリーと経済用語・キーワード集を、特典ディスクには2カ月間の撮影に密着したメイキング映像、大森南朋・玉山鉄二・栗山千明・柴田恭兵ら出演者のインタビュー、未公開シーン集、完成披露試写会などのイベント映像集、アカマ自動車の新車発表会で流れたプロモ映像完全版、ドラマ版ダイジェスト、特報、予告編、TVスポットなどを収録している。特典の中でも注目してほしいのが未公開シーン集。主人公・鷲津が日本の市場から姿を消すきっかけとなった、ドラマから映画へとつながる空白の4年間「ライオンソース裁判〜鷲津の絶望」など、全8種類が収められている。封入特典は24ページのブックレット。

 ハゲタカとは瀕死の企業を買収し、利益をむさぼりつくす投資ファンドのこと。ドラマではそのハゲタカを率いる鷲津(大森南朋)と、鷲津のかつての上司で企業の再生家に転じた芝野(柴田恭兵)を中心に、老舗電機メーカーの買収と再生が描かれた。

 映画版のベースとなるのは真山仁の経済小説「ハゲタカ」シリーズの3作目「レッドゾーン」。ドラマの4年後を描いた物語は、日本を離れていた鷲津のもとに、自身が執行役員を務める老舗の「アカマ自動車」を救ってほしいと芝野が訪れたことから始まる。アカマ自動車が中国残留孤児三世・劉(玉山鉄二)の新興ファンドに敵対的買収を仕掛けられ、鷲津が企業側を守るというホワイトナイトとして登場、真逆の立場となるのだ。

 大森南朋と玉山鉄二の新旧ハゲタカ対決は緊迫感たっぷり。大森南朋は企業買収に乗り出す主人公を男の色気たっぷりに演じ、ドラマ版以上に魅力を発揮している。監督はテレビ版に引き続き大友啓史が担当。

 すでに完成していた脚本は世界金融危機で大幅に変更され、リーマン・ショックや派遣切り、中国経済の躍進など、現在進行形の社会問題が盛り込まれた。マネーゲームはスリリングだが、鷲津の過去や劉の自動車への想いなど、それぞれの悲しみが見え隠れするのも、このシリーズの魅力。ただし、人物関係など説明不足が目立ち、テレビ版を見ていないと分かりにくいかも。テレビ版はここ最近のドラマの中でも突出の面白さなので、未見の方は、テレビ版と映画を一気見してほしい。

関連キーワード

Blu-ray | 映画


*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る