第126回 桜の花と色合いの関係:今日から始めるデジカメ撮影術(3/3 ページ)
春の被写体といえば桜。遠くから見てもぐっと近寄ってもといろいろな撮り方ができるし、花びらが薄いので、ちょっとした光の加減で写りが大きく変わるのが面白い。
夜桜を撮る
最後に夜桜。ライトアップされた夜桜と、されてない夜桜。両方を撮ってみる。
夜桜は三脚が必要……なのであるが、ちゃんとライトアップされていれば三脚はなくてもなんとかなったりする。ただし、とても暗いのは確かなので、明るいレンズは欠かせない。ISO感度も上げなきゃいけない。
すると三脚なしでもこんな写真が撮れる。
ポイントをいくつか。まずは露出。これはマニュアル露出で。スポット測光にセットし、撮りたい花びら当たりでだいたいの露出を見る。そしてそれを参考にマニュアルでセットして、撮りながらほどよいところを見つける。
オートで撮ると背景の暗い所に引っぱられて露出オーバーになるわ、超スローシャッターになるわで大変である。暗い所はぎゅっと締めて、桜がほどよく、しかも夜らしくちょっと暗めになる組み合わせを探すのだ。
この写真の露出はISO400で1/80秒 F1.4だ(レンズはF1.4と明るい単焦点レンズ)。
ちなみに、似た構図で手ブレ補正付ズームレンズで撮ったのがこちら。
こちらはなんとISO1000に上げてやっと1/13秒F5.6。感度もシャッタースピードもこれだけ違う。F1.4の明るいレンズは偉大なのだ。手ブレ補正のおかげでなんとか撮れたが、風がちょっとでも吹くときついシャッタースピードである。
もうひとつ大事なのはホワイトバランス。
ホワイトバランスを太陽光にするとオレンジ色っぽい暖かい感じになるし、オートだと補正されて白っぽい桜本来の色になる。ちなみに上の写真は、ホワイトバランスを「白熱灯」にして撮った。
ホワイトバランスを手動で切り替えるだけで写真の雰囲気がこれだけ変わるのだ。ライトアップに使われている投光器とのバランスで決めたい。このようにピンクで幻想的に撮るのもいいし、オートで合わせちゃうのもいい。
きちんとライトアップされていて明るいレンズを持っていれば、フラッシュを使わなくても、三脚を持たなくてもいいのだ。
次はフラッシュを使ってみる。
マニュアル露出で内蔵フラッシュを弱めに当てると、背景が真っ黒になることもなく、ほどよく花びらが照らされる。ただちょっと不自然な感も否めない。ライトアップの照明色が赤っぽいのに比べるとフラッシュの明かりは青白いからだ。
そんなときは内蔵フラッシュに装着する「ディフューザー」を使うと便利。内蔵フラッシュの光を弱く柔らかくする製品はいくつも出ているが、そのひとつに色のついたディフューザー(エツミの「ポップアップストロボディフューザー 3色入り」など)がある。そのウォーム色のディフューザーを付けるとフラッシュの光を赤っぽくしてくれるのだ。
そうするとこんな夜桜を撮れる。
見事ピンク色の夜桜である。後ろにほわんとボケて写っているのは月。夜桜は三脚がないと難しい、と思われがちだが、マニュアル露出できちんとセッティングすれば手持ちでも撮れるのである。
最後はライトアップされてない夜桜。これはさすがに三脚は必須。その分、ライトアップの桜とはまた違う雰囲気で仕上げられる。
公園のあかりがあたる桜を見つけ、シャッタースピード1/4秒で撮影したのがこれ。
街灯の光は非常にクセがあり、普通に撮るとすごく緑がかぶってしまうので、RAWで撮ってあとでホワイトバランスを調節した。
夜の公園を三脚を持ってうろうろするのも怪しいけど、たまにはこんな写真を狙ってみるのも面白い。
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