どんなテレビもREGZAになる? 「レグザチューナー」を試す(後編)(2/2 ページ)
単体デジタルチューナーとしては非常に多機能な「レグザチューナー」。後編では、注目の録画機能にくわえ、超解像技術「レゾリューションプラス2」の効果を検証していきたい。
録画番組は、HDD間でムーブすることも可能。従って普段はHDDは1台だけ接続(もしは電源オン)にしておき、定期的に別のHDDに転送して録画番組を整理するといった使い方ができる。録画一覧はHDD単位になるが、クイックメニューから切り替えることで、接続中のどのHDDからでも再生が行える。ちなみに30分番組のムーブに要した時間は約6分なので、時間がかかって困るということもなさそうだ。
なお、SDメモリーカードへのワンセグ録画に関しては、常に直接録画となり、HDD内の録画番組を変換して転送するといった機能はない。つまり、録画時にSDメモリーカードが装着されていないと録画は実行されないことになる。頻繁にワンセグ録画を利用する場合は、2枚のSDメモリーカードを用意しておき、交換しながら使うようにするといいだろう。
高品位な映像出力と「レゾリューションプラス2」
本機の映像出力は極めて高品位だ。いかにも東芝らしい味付けで、発色に関しては少々淡白な気もするが、解像感が高く極めてクール。この傾向はD端子接続、HDMI接続でも基本的には変わらない。筆者宅にも同社のハイビジョンレコーダーがあるが、傾向が非常に似ている。なお輝度や色あいに関してはテレビまかせとなっていて、本機に設定は用意されていない。
画質面の注目機能は、「レゾリューションプラス2」だろう。REGZAシリーズの超解像技術としては2世代目にあたり、2009年の春モデルから搭載されている。その機能に関してはITmediaでも何度も触れているので別途参照して頂いきたい(→REGZA史上“最強”、新Zシリーズ詳報)。本機では単に「レゾリューションプラス」と表記され、ON/OFFの他5段階に効き目を調整可能だ。
再構成法の超解像技術は、もともと自然画に向いたもので、アニメーションなどにはあまり効果がないといわれるが、ここではわざとSD放送されているアニメを録画して比較してみた。
レゾリューションプラス2の効き目は映像ソースにも依存するが、SD解像度のソースであればOFFからONにした瞬間に画面全体にシャープさが増したことを感じる。必要性は組み合わせるテレビの解像度や画面サイズにもよると思うが、いわゆる大画面テレビに類するテレビなら利用する価値は十分にあるだろう。きちんと映像ソースに応じた処理を行っているので、レベル1〜3程度であれば常時ONにしていても無理に強調されている印象を受けることはない。
単なる地デジ対策ではない単体デジタルチューナー
現在単体のデジタルテレビチューナーは2011年7月のアナログ停波に向けて、ブラウン管を中心とする地デジ非対応テレビの地デジ視聴、いわゆる地デジ対策向けに主に求められている。本機もそれに対応する製品の1つであり、外付けデジタルチューナーとして、とくに不便なく使えるだろう。実売価格は2万円代前半となるようで、3波対応チューナーとしては極端に高価なわけではない。
本機はレコーダーとしても悪くない。録画番組をDVDやBDメディアへ保存することはできないが、HDD間の移動はできるため、複数のHDDを使ってライブラリー的な管理が行える。録画機能付きテレビの場合、テレビを買い替えたり、故障して修理に出したときに録画番組を一切再生できなくるケースが多い(i-VDR対応製品除く)。本機も故障して修理不能になれば同じことなのだが、テレビに比較すれば故障の要素が少いのため、10年単位で使えてもおかしくはない。HDDはどんどん安くなるので、定期的に買い替えながら、新しいHDDに録画番組を移動していけば良いわけだ。
またPC向けの液晶ディスプレイとの組み合わせもアリ。テレビチューナー内蔵の液晶ディスプレイは既にあるが、録画機能を持つ製品はないし、何より製品数がさほど多くない。本機を組み合わせるなら、好きな液晶ディスプレイをテレビとして使うことができる。とくにプライベートルームのテレビ兼レコーダー環境としては悪くない選択だ。PCにデジタルチューナーを装備するのも手だが、テレビや録画番組を見るだけのためにPCを起動する手間を考えると、レグザチューナーのほうが手軽に使える。
もちろん。デジタル放送非対応のテレビと組み合わせての地デジ対策でも、低価格なPC用USB HDDを買い足すだけでレコーダーとして使えるのは魅力で、ワンセグ録画機能まで手に入る。テレビ番組をBDやDVDに残す必要はないという人であれば、非常に魅力的な選択肢といえるだろう。
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