パイオニア「VSA-LX55」で確認した「フェイズコントロールプラス」の有用性:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)
この夏、パイオニアの中堅AVアンプとして登場した「VSA-LX55」。価格はSC-LX83の半分以下の15万円だが、その内容を吟味し、音を聴いておおいに驚かされることとなった。
ジョナサン・モフェットのパワフルなドラミングが聴けるBD「This is it/ マイケル・ジャクソン」を例にとると、LFEchの時間遅れは約9ミリ秒。そこで本機のフェイズコントロールプラスを使ってこの遅れを補正してみると、深く沈むキックの量感がぐんと増し、よりいっそう切れ味のよいドラムサウンドが楽しめるようになった。まさにその効果は劇的。これまで何を聴いていたんだろう? と思わせるほどの違いだった。
DLNA1.5を活用したネットワークオーディオ機能
それから、もう1つ。このAVアンプが値段が2倍以上のSC-LX83よりも魅力的なのが、DLNA1.5を活用したネットワークオーディオ再生機能だ。LX83にもこの機能は搭載されていたが、対応するデジタルファイルのレゾリューションがWAV、FLACともに48kHz/16bitに限定されていた。それがこのLX55はなんとWAV、FLACともに192kHz/24ビットという現状考えられる最高レベルのハイレゾリューション・ミュージックファイルの再生が可能なのである。
最近、CDフォーマットを超えるこのハイレゾファイルのインターネット配信が急増している。海外サイトだが、とくに「HD Tracks」のラインアップが見逃せない。ワーナー系などメジャーレーベルの旧譜が96kHz/24bit、192kHz/24bitのFLACファイルで配信され始めたり、ぼくの好きなアーティストの新譜が思いがけずハイレゾでアップロードされたりしていて、定期的に届く同サイトのお知らせメールを隈なく注視している今日この頃だ。
本機のLAN入力に手持ちのNASをつないで、HD Tracks のサイトからダウンロードした「ホワッツ・ニュー/ リンダ・ロンシュタット」(192kHz/24bit FLAC)や「バンド・オン・ザ・ラン/ ポール・マッカートニー& ウィングス」(96kHz/24bit FLAC)などを聴いてみたが、スタジオマスターを彷彿させるじつにスケールの大きなハイファイ・サウンドを聴くことができ、おおいに驚かされる結果となった。
より価格の高い国産専用ネットワークプレーヤーが96kHz/24bit超のハイレゾファイルに対応していない現状を考えると、本機の凄さ、ありがたさを痛感する。HDオーディオのサラウンドサウンドだけではなく、ハイファイのハイレゾファイルにしなやかに対応したAVセンター「VSA-LX55」は、多くの読者に注目していただきたいと思う。
関連記事
- パイオニア、ネットワーク機能を充実させた7.2ch AVアンプ「VSA-LX55」
パイオニアは、DLNA1.5や「AirPlay」などネットワーク機能を充実させた7.2ch AVマルチチャンネルアンプ「VSA-LX55」を発売する。3Dコンテンツの奥行き感を再現する新音場機能「バーチャルデプス」などの新機能も搭載。 - LGエレ「LZ9600」が実現した脅威の薄さとコントラスト
この夏、LGエレクトロニクスが投入した「LZ9600」シリーズが興味深い。なんといっても、直下型LEDを採用しながら47V型で8.8ミリという目を疑う薄さ。これはLGグループ4社が綿密に連携した結果だという。 - 上位機を超える3D画質、ソニー「VPL-HW30ES」に驚いた
ソニー「VPL-HW30ES」の試作機をチェックする機会を得た。上級機と同じ240Hz駆動のSXRDパネルを用いて3D対応を果たし、型番末尾にソニー高級モデルの証となる“ES”が刻印されたモデルである。 - 東芝“REGZA”「47Z2」で見る、確信犯的な美人画表現
この春夏に登場した各社のテレビ新製品の中でもすごいと思ったのが、“REGZA”の「Z2シリーズ」である。新しい画像処理エンジンを得て、東芝の匠による繊細な絵づくりがもう一段高いレベルに進化したのは間違いない。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.