東芝“REGZA”「47Z2」で見る、確信犯的な美人画表現:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)
この春夏に登場した各社のテレビ新製品の中でもすごいと思ったのが、“REGZA”の「Z2シリーズ」である。新しい画像処理エンジンを得て、東芝の匠による繊細な絵づくりがもう一段高いレベルに進化したのは間違いない。
放送波の地上デジタル完全移行を目前に控え、各社のこの春夏の大型テレビは力作、傑作がズラリ出揃った印象だ。昨秋から年度末にかけて、店頭にあればどんなテレビでも売れるといった狂騒状態から抜け出し、ほんとうに上質なテレビとは何かを真剣に考え抜いた製品が市場を賑わわせ始めたことは、われわれ消費者にとってもすばらしいことだと思う。商品情報を吟味し、じっくり腰を落ち着けてテレビ選びをするにふさわしい製品群がどんどん増えているわけだから。
とくにぼくがこの春夏のラインアップを見てすごいと思ったのが、東芝“REGZA”である。
合計2TバイトのHDDを内蔵し、最大で6チャンネル約30時間分の地デジ番組を一時保管できる「手頃なCELL REGZA」ともいえる3D対応のハイエンド・モデル「ZG2シリーズ」(52V型、47V型、42V型)の内容の濃さもすごいし、偏光フィルターを利用する“シアターグラス3D”を採用した小型機「ZP2シリーズ」(32V型、26V型)も興味深い。しかし、この2シリーズ以上にぼくが注目しているのが、「Z2シリーズ」(47V型、42V型、37V型)だ。画質をチェックしてその完成度とコストパフォーマンスの高さに強い感銘を受けたからである。なかでも最大画面サイズ47V型「47Z2」の出来のよさにはおおいに驚かされた。
本シリーズの技術内容で最も注目すべきポイントは、新画像処理LSI「レグザエンジンCEVO」の初搭載だろう。2005年の「Z1000シリーズ」で提案された「メタブレイン」以来だから、6年ぶりにメインLSIのアーキテクチャが変更されたことになる。盛り込まれた技術のなかでは、「レゾリューションプラス6」と呼ばれる超解像技術の進化がとくに興味深い。
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47Z2に採用された表示パネルは、視野角の広いLG製IPSタイプ。パネル両サイドにLEDを配したエッジライト型で、コントラストを向上させる16分割(水平2×垂直8)のローカルディミング(部分減光)の手法が採られている。加えて残像を低減させる垂直8分割のバックライトスキャンが実現されているが、LGと共同開発したスリット状の導光板の採用により光の拡散を抑えて安定したスキャニングが可能になったという。駆動は倍速の120Hzで3D表示には対応していない。
エッジライト型の利点を生かしたミニマルデザインも見事な完成度だ。ベゼル幅は上下約35ミリ、左右約40ミリと細く、奥行きは29ミリときわめて薄い。背面にも凸凹がほとんどなく、見事なフラットデザイン。流線型のスタンドはアルミダイキャスト製で、従来のようなプラスチッキーな安っぽさが微塵もないのがうれしい。これでベゼルの平面性がもっと徹底されれば、より高級感が醸し出されるのだが……。
「レグザエンジンCEVO」は、メインLSIの中に2つのCPUコアと高画質回路、メモリーで構成される3種類のチップを積層して超高速処理を実現したもの。昨年のZ1に搭載されていたレグザエンジンに比べて約3.4倍の処理能力を持つという。高画質の与する開発ポイントは、すべてのノイズリダクションを最前段で処理し、超解像処理を一元化することでS/N感と精細感の両立を図っていること、CELL REGZAに搭載されていた色の超解像技術に加えて、複数フレームによる超解像技術が初めて加えられたことである。
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