東芝“REGZA”「47Z2」で見る、確信犯的な美人画表現:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)
この春夏に登場した各社のテレビ新製品の中でもすごいと思ったのが、“REGZA”の「Z2シリーズ」である。新しい画像処理エンジンを得て、東芝の匠による繊細な絵づくりがもう一段高いレベルに進化したのは間違いない。
その効果を地デジ番組でチェックしてみた。地デジの原画解像度は1440×1080ピクセルでフルHD(1920×1080ピクセル)のBS番組に比べて水平方向の超解像効果がより顕著なはずだし、今回の複数フレーム処理は、インターレース入力は過去2フレーム、未来1フレームの画素情報を参照して補間画素を生成する仕組みで、過去1、未来1フレーム処理のプログレッシブ入力よりもその改善効果が期待できる。
明るいリビングルームを想定した照度環境で、映像モードを照度とコンテンツに合わせて最適画質を提供する「おまかせ」に設定、情報バラエティー番組を内蔵チューナーで見てみたが、超解像の効き具合を調整する「レゾリューションプラス」デフォルト状態で、すばらしくキレのよい、鮮烈な映像に驚かされる結果となった。平均輝度レベルの高いスタジオ収録番組ということもあるが、ノイズ感は極小だし、いやらしい輪郭の強調感や偽信号も少ない。超解像処理が加わった本機のノイズレスと呼びたい超高精細「テレビ画質」は、価格を考えると信じられないレベルというほかない。ふだん使いのリビングルーム用テレビとして多くの人にお勧めできる製品だと確信した。
次に映像モードを「映画プロ」に変更し、30ルクス前後のほの暗い照度環境で映画Blu-ray Discをチェックしてみた。いくつかのソフトを観て実感したのは、パネルの素性のよさとローカルディミングの効かせ方のうまさ。Z1シリーズで気になった色ムラ、輝度ムラはほぼ完璧に抑えられているし、平均輝度が大きく変化する場面でも画面全体がふかふかと不自然にシフトせず、安定したコントラスト感が維持される。黒の安定感、暗部のホワイトバランス、階調表現のレベルも高い。
Z1に比べて色再現範囲も広がり、HDTV色空間標準規格の99%をカバーできるようになったとのことで、朱色がかっていた赤も紅方向に大きく表現域が広がった印象だ。
肌色の自然な美しさやS/N感のよさも出色。とくに白人女性の肌色は確信犯的な美人画表現だ。映画BD「17歳の肖像」のキャリー・マリガンなど、本人以上にはんなりとした上品さが際立つ(彼女に会ったことはないけれど)。新画像処理エンジンを得て、賢者の目を持つ東芝の匠による繊細な絵づくりがもう一段高いレベルに進化したのは間違いない。
フィルム素材(24フレーム/秒)の補間動作モードについては、暗所環境では基本的に等倍速(5-5処理)の『フィルム』モードで問題ないと思うが、新設された、映画の時間感覚を残しながらよりスムースな動きを見せる「クリアフィルム」モードが予想以上によかった。これは同一フレームを4回描いた後に1フレームだけ補間画像を挟むモード。補間画像を4フレームつなぐ「クリアスムーズ」モードのようななめらかすぎる違和感はなく、常用できる補間動作モードだと実感した。
本機をテストしてもう1つ感心したのが、使い勝手のよさ。番組表の呼び出しに要する時間はたったの0.3秒。番組表から番組を選んで出画するまでも約1秒と驚くほど速い。くるくる動くランチャー表示の「レグザメニュー」の動作も快適で、使う楽しみが倍加する印象だ。
音質はコストダウンの影響がスピーカーユニットに出ており、中域が薄く物足りない。ただ音響パワー周波数補正を行なう「CONEQ」の採用もあり、けっしてイヤな音を出さない大人のバランスに仕上げられている印象だ。価格を考えると驚異的とも思える完成度を誇るベーシックテレビ=東芝47Z2、エコポイント狂騒曲が終息した今こそ、いいテレビを買いたいという方にぜひお勧めしたい。
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