レビュー
これは珍しい、真空管ポータブルヘッドフォンアンプ「DN-84141」を試す:野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)
上海問屋から「真空管ポータブルヘッドフォンアンプ」が登場した。「それって耐久性とか熱とかいろいろ大丈夫なの?」と思われがちな製品を試してみよう。
厚みのあるボーカルに好印象
試聴には、「iPod touch」(+変換アダプター)とFitEarの「MH335DW」を使用して行った。ヘッドフォン出力に比べてややSN感が犠牲になるものの、音のダイナミックさが格段に向上。メリハリのしっかりした、勢いのある演奏にガラッと生まれ変わる。細部の表現まで良く伝わってくるようになるため、音がリアルに感じられるのも好ましい。女性ボーカルなどは、厚みのしっかりした、人間らしい歌声が堪能できる。
一方、ピアノの音を聴くと、ややひずみ感が乗っていることも分かるが、アタックがしっかりしていることと、響きの豊かさとの相乗効果でまったく気にならない。音質的には多少の弱点は垣間見られるものの、それを補ってあまりある音楽的な魅力を持ち合わせているのは確かだ。わざわざ、ポータブルでも“真空管”にこだわるだけの価値を持つ、個性際立つモデルだと思う。
なお、今回の取材では実際に10数時間にわたっての試聴を行ったが、聴き続けるにつれずいぶんと丁寧で緻密(ちみつ)な表現に変わっていった。本来の実力を発揮するには、まだまだ時間が必要なのかもしれない。もし購入された場合は、50時間、100時間と、じっくりとつきあっていくことをお勧めする。
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