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JVC「DLA-X700R」が描き出す“小津カラー”の鮮やかさ山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(1/2 ページ)

JVCの最新プロジェクター「DLA-X700R」を自室でチェックする機会を得た。「DMR-BZT9600」の4Kアップコンバート出力と組み合わせ、小津安二郎監督の「彼岸花」を観てみよう。

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 大画面4Kテレビに注目が集まる昨今だが、100インチを超える超大画面サイズで本格的に映画が観たいというニーズに応えるには、現状ではやはりスクリーンとプロジェクターの組合せということになるだろう。


JVCケンウッド「DLA-X700R」。希望小売価格は税込み84万円

 ソニーや東芝から84V型の4Kテレビが発売されているが、映像を映し出しているときはまだしも、平均的な広さのリビングルームに置かれた消灯黒画面の84V型テレビを目の前にすると、誰もがその「巨大な存在感」にガクゼンとしてしまうに違いない。気の利いたインテリアで仕上げた部屋ほどその絶望感は大きいはずだ。

 その点、大画面スクリーンは昇降式タイプを備えつければ、使うときだけスクリーンを下ろせばいいわけで、巻き上げたときの壁には、好きな絵や大きく引き伸ばした写真などを飾るなりすればいい。インテリアとの親和性は、80V型クラスの大画面テレビよりもプロジェクターが圧倒的に高いというのが筆者の実感だ。今年のCESで発表された、ソニーのラック一体型短焦点4Kプロジェクターなど、まさにその観点から企画された商品といっていいだろう。


ソニーが「2014 International CES」で発表した超短焦点4Kプロジェクター。使わないときは部屋がすっきり。国内販売は未定だ

 しかしながら、ほぼ全暗環境を要求する投写型プロジェクターの国内市場規模は年々縮小しているのも事実。部屋を暗くして映像を観るというカルチャーは、やはり日本人には馴染みにくいのかもしれない、とふと思う。そんなわけで、残念ながら家庭用プロジェクターを手がけるメーカーの数は減り続け、国内メーカーではソニー、JVC(JVCケンウッド)、エプソンのみというさびしい状況になってしまった。

 ぼく自身は無類の映画好きということもあって、プロジェクターを用いた大画面ホームシアターを実践し始めて約20年が経つが(最初はブラウン管を使った3管式!)、その面白さに今なお魅了され続け、あきることがない。とくに4Kマスタリングが定常化しつつある高画質な近年の映画Blu-ray Discの魅力を100%満喫するなら、もう絶対最新プロジェクターだという確信はまったくもって揺るがない。部屋の照明を落とし、スクリーンに対峙して良質な映画Blu-ray Discを観る時間、それこそが現在のぼくにとってもっとも幸せなひとときなのである。

 また、先述した3社の最新高級機種、すなわちソニー「VPL-VW500ES」、JVC「DLA-X700R」、エプソン「EH-TW8200W」は、どれもすばらしい出来で、太鼓判を押して映画ファンにお勧めできる。そのうちJVCの最新プロジェクター「DLA-X700R」を自室でチェックする機会を得たので、今回の連載ではその試用リポートをお伝えしたいと思う。


2008年発売の「DLA-HD750」

 JVCのプロジェクター開発陣は、2008年の「DLA-HD750」からフィルムの発色やガンマ特性を徹底解析し、それを電子映像に置換するインテリジェントな開発手法を確立、リッチな色とフィルムルックを思わせる階調を実現した「シネマ」「フィルム」画質モードを提案してきた。シネフィルのぼくは、そんな画質モードの完成度の高さに魅了され、DLA-HD750からJVC製プロジェクターを購入し、今も2010年に発売された「DLA-X9」を使い続けている。

 同社は2011年の「DLA-X70R/90R」からフルHDパネルに「e-shift」と呼ばれる画素ずらし手法を組み合わせて4K対応を図ってきた。翌2012年の「DLA-X75/X95」でその効果がよく分かるようになったが、それでもリアル4K画素プロジェクターに比べて精細感、鮮鋭感がもうひとつのように思え、ぼく自身は食指が動かなかった。やはり画素ずらしの手法には限界があるのでは? という感触だったのだが、最終的に仕上がった最新の「DLA-X700R」の画質をチェックしておおいに驚いた。リアル4K画素タイプのソニー「VPL-VW500ES」に限りなく迫る魅力的な高精細高画質が実現されていたからである。

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